銀(シルバー)の現物価格が、5月7日に1オンス=81.55ドルまで急伸した。前日比では+5.05ドル(+6.60%)の大幅高で、1年前の32.45ドルからは+151.30%の上昇率となる。同時刻のゴールドが4,751.44ドルと過去最高値圏で推移する裏で、銀がそれを上回るペースで値を切り上げているのが今回の特徴だ。
米経済誌フォーチュンによると、5月7日東部時間8:45時点の現物銀は81.55ドルで、過去1か月でも+12.03%の上昇を記録した。本誌では前日に金4,685ドルを取り上げたが、貴金属ラリーの主役は今、ゴールドから銀へと広がりつつある。
なぜ銀がゴールドを超える勢いで上昇したのか
銀の値上がりには2つの異なる需要が同時に重なっている。1つは安全資産としての需要、もう1つは産業用としての需要である。
まず安全資産の側面から見ると、銀はゴールドと同じく金属の現物資産で、紙幣のように中央銀行の判断1つで増刷できない。インフレ局面で「現金で持つと目減りする」と感じた投資家は、ゴールドや銀のような物体に資金を移す。フォーチュンも記事の中で、銀について「インフレが家計を圧迫するときに購買力を保つ『価値の貯蔵手段(store of value)』として機能してきた」と説明している。
もう1つの産業用の側面は、ゴールドにはない銀固有の事情だ。銀は導電性が金属の中で最も高く、太陽光パネル、電気自動車のモーター、5G基地局、半導体ボンディングワイヤなど、現代産業の至る所で使われている。世界銀協会(The Silver Institute)は2025年の世界産業需要が過去最高水準に達すると公表しており、太陽光パネル1基あたりに使われる銀の量も毎年増えている。つまり「投資家が買う」だけでなく「メーカーが消費する」需要が下値を支えているのが、ゴールドとの大きな違いとなる。
ゴールド1オンスを買うのに銀が何オンス必要かを示す比率。歴史的な平均は60〜70倍前後で、これより高いと「銀が割安」、低いと「銀が割高」と判断される目安になる。5月7日時点では4,751.44ドル÷81.55ドル=約58倍となり、過去20年の平均より低い水準まで縮小している。
1年で2.5倍——投資家心理と需給逼迫が同時に起きた
1年前の32.45ドルから81.55ドルへの上昇は、上昇率にして+151%、金額にして+49ドルの値上がりである。この間に何が起きたのかを整理すると、3つのストーリーが重なっている。
1つ目は中央銀行の金購入が銀にも波及した点だ。各国中央銀行は外貨準備の多様化を進めるため、ここ数年ゴールドの購入を増やしてきた。これがゴールドの価格を押し上げ、相対的に割安に見える銀へ個人・機関の資金が流入した。2つ目は、地政学リスクの高止まりだ。中東情勢、関税摩擦、為替介入といった「不確実性のニュース」が続いた1年で、安全資産バスケット全体に資金が向かった。3つ目が、太陽光発電の世界的な拡大による産業需要の押し上げである。
結果として、銀の市場では現物の品薄状態が継続している。ロンドン金属取引所(LME)や米コメックスでは、現物受け渡しの繰り上げ要求が増え、保管在庫の減少傾向が断続的に報じられている。先物市場で「銀の借料(リース料)」が上昇しているのも、現物が足りていないことを示唆する。
個人投資家が銀にアクセスする手段
日本の個人投資家が銀へ投資する場合、選択肢は4つに整理できる。
第1に銀地金や銀貨の現物購入で、田中貴金属や三菱マテリアルが取り扱う。第2に銀ETF(上場投資信託)で、米国市場ではiシェアーズ・シルバー・トラスト(SLV)が代表的な銘柄、東証では1542(純銀上場信託)が代表である。第3に銀鉱山株で、Pan American Silver、First Majesticなどが該当する。第4に銀先物・差金決済取引(CFD)で、レバレッジを効かせて取引できる反面、リスクも大きい。
初心者には第2のETFが最も扱いやすい。1株単位で売買でき、保管コストや盗難リスクを気にせずに済む。ただし円建てで投資する場合、銀価格の変動だけでなくドル円の変動も損益に影響するため、為替の動きも併せて確認する必要がある。
今後の注目点
短期的にはゴールドシルバーレシオの動向が手がかりとなる。歴史的な平均60〜70倍に対して現在は約58倍まで縮小しており、ここからさらに50倍を割り込むなら銀の独歩高、逆に70倍へ拡大するなら銀の調整入りのサインとなる。米雇用統計や次回の米連邦公開市場委員会(FOMC、米国の金融政策を決める会合)の利下げ判断、米イラン情勢の進展も金属相場全体の方向感を左右する。
moneyhikakulab.jpでは前日5月7日に 金4,685ドルへ3%急伸——米イラン『14項目覚書』報道でドル安・原油急落、地政学プレミアム剥落でも金が上がった理由 を取り上げた。あわせて読むと、貴金属市場全体の構図が把握しやすい。
個人投資家が意識すべき3つのポイント
第1に、銀はゴールドより値動きが大きい資産だと心得る。1日で6.60%動くのは決して珍しくなく、上にも下にも振れやすい。投資金額は資産全体の数%以内に抑え、長期保有を前提とするのが無難だ。
第2に、ETFを使うなら経費率と為替の影響を確認する。SLVの経費率は0.50%、東証1542は0.50%程度で、長期保有でじわじわ運用成績に効いてくる。米国ETFは円建てで損益が出るため、円高に振れると銀の上昇分が目減りする点も忘れてはならない。
第3に、現物の銀地金は購入時の手数料・売買差額・保管コストが意外と大きい。少額で銀の値動きに連動させたい段階ではETFが合理的で、現物購入は大口かつ長期で「最終的に手元に置きたい」と決めた段階で検討するのが現実的だ。
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