5月6日のニューヨーク市場で、金スポットは1オンス4,685ドル付近まで上昇しました。米国とイランがホルムズ海峡を含む対立を終わらせる「14項目の覚書(Memorandum of Understanding)」の締結に近づいているとAxiosが報じたことを受け、ドル安と原油急落が同時に進み、安全資産需要と利下げ期待が同時に金を押し上げました。先週の本誌記事では、ホルムズ海峡封鎖の継続が金高を支えていると伝えましたが、その正反対の材料が出ても金が下落しなかった点が今回の最大の注目点です。
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「正反対の材料」で金が上がった理由
フォーチュンのデータによると、5月6日午前9時5分(米東部時間)の金スポットは1オンス4,685ドル、銀は1オンス77ドルで取引されました。一方、原油WTI先物は1バレル93ドル付近まで急落し、前日比で10%超の下げを記録しました。ドル指数(DXY)も98を割り込み、約半年ぶりの安値圏に下げています。
普通に考えれば、中東情勢の緊張緩和は「安全資産としての金」の需要を減らす材料です。それなのに金が3%超も上がったのは、地政学リスク後退の影響よりも、ドル安と利下げ期待の押し上げ効果が上回ったためと考えられます。原油急落でインフレ警戒が後退し、6月以降のFRB利下げ確率が市場で再び意識されたことが、ドル建て資産である金を相対的に安くしたという構図です。
金はドル建てで取引されるため、ドルが安くなると他通貨で見た金は割安になり、買い需要が増えます。さらに、米国の金利が下がると、利息を生まない金の機会費用が小さくなり、金の魅力が相対的に高まります。今回はドル安と利下げ期待がほぼ同時に強まり、地政学リスクの後退分を打ち消す形になりました。
14項目の覚書とは何か
米メディアの報道によると、米イラン覚書はわずか1ページ・14項目の構成で、敵対行為の終結宣言に加え、ホルムズ海峡の通航・イラン核問題・米国の制裁解除について30日間の詳細交渉期間を設定する内容とされています。覚書そのものに法的拘束力はないものの、「30日間は対立をエスカレートさせない」という暗黙の合意として機能する設計です。
この30日間が満了するまでに具体的な合意が形成されない場合、ホルムズ海峡封鎖を含む緊張が再燃するリスクは残ります。先週の本誌記事「金4,571ドルから4,630ドルへ反発」で取り上げた地政学プレミアムは、完全に剥落したわけではなく、5月後半までの交渉進展を見極める必要があります。
銀が6%急騰、ゴールドシルバーレシオは61倍
同じ日に銀スポットも急騰し、1オンス77ドル台まで上げました。前日比で6%を超える上昇率は、金の3%超の動きを大きく上回ります。ゴールドシルバーレシオ(金÷銀)は約61倍となり、歴史的平均60〜70倍の中央付近に収まっています。
銀には金とは別の構造的な押し上げ要因があります。シルバー・インスティテュートの見通しでは、世界の銀市場は2026年も6年連続で需要超過となり、不足量は2億1,500万オンスと過去最大規模に達する見込みです。需要の約6割を占める産業用途、特に太陽光パネルと電気自動車向けの銀消費が年率3〜5%で伸び続けている一方、鉱山供給がそれに追いついていないためです。
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私たちの生活にどう関係するか
日本国内で金地金を購入している方にとって、5月6日の金高は円建て金価格を押し上げる方向に働きます。ただし同日にはドル円が一時155円台まで急伸する円高も進んだため、円建て金価格の上昇幅はドル建てよりも小幅にとどまった可能性があります。地政学・金融政策・為替の3要素が複雑に絡む局面では、ドル建て金価格だけを見て判断するのは危険です。
銀は、金と比べて1オンス当たりの単価が低く、少額から始められる点が個人投資家にとって入りやすい特徴です。ただし5月6日に1日で6%動いた事実が示すように、ボラティリティ(価格変動の大きさ)は金より明らかに大きいため、購入数量は控えめにする判断が現実的です。
今後の注目点
5月8日(米東部時間)に発表される4月の米雇用統計が、当面の方向性を決める重要なイベントです。雇用増加が予想を上回る強い結果なら、利下げ期待が後退してドル高・金安のシナリオに振れます。逆に弱い結果なら、和平期待と利下げ期待のダブル材料で金が5,000ドル台を視野に入れる可能性があります。
米イラン交渉の30日間の期限と、6月17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)が同月内に重なる構図のため、5月後半から6月前半にかけては金価格のボラティリティが高まりやすい局面です。
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個人投資家が意識すべき3つのポイント
1つ目は、地政学リスクの後退と金の下落は必ずしも一致しないという点です。今回のように、ドル安と利下げ期待が同時に進めば、地政学プレミアムの剥落分を相殺して金が上昇することがあります。ニュースの方向性だけで売買を判断するのは避けるべきです。
2つ目は、円建て金価格はドル建て価格と為替の積み合わせで決まるため、円高局面では「ドル建ては上がっているのに円建ては伸び悩む」事態が起こり得る点です。日本の個人投資家は、ドル建て金価格と為替を別々に追跡する必要があります。
3つ目は、銀のボラティリティを過小評価しないことです。需給の構造要因は中長期で銀価格を支えるとしても、1日で6%動く市場では、買い増しのタイミングを誤ると含み損を抱えやすくなります。金の補完として銀を持つ場合は、ポートフォリオ全体に占める比率を抑える判断が無難です。
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