金の「安全資産」神話が揺らぐ — ブルッキングス研究所が「高ベータ資産」と指摘、月足にベアイシュシグナル

当ページのリンクには広告が含まれています。

金(ゴールド)が4月13日に前日比56ドル安の4,731.70ドルで引け、6週間で約10%の調整となった。下落の背景に、米国とイランの協議が再び決裂したことによるインフレ懸念の再燃がある。ブルッキングス研究所のロビン・ブルックス氏はKitco Newsのインタビューで「金はもはや安全資産ではなく、高ベータ資産として機能している」と指摘した。さらに貴金属精錬大手ヘレウスが月足チャートに「ベアイシュ・エングルフィングパターン」を確認しており、強気相場が数ヶ月単位で停止する可能性が浮上している。

金の買い方を徹底解説!どこで買うのがおすすめ?現物・ETF・CFDの違い

目次

なぜ有事に金が売られるのか

かつて「有事の金」と呼ばれたように、地政学的リスクが高まると金は買われる資産と見なされていた。しかし今回の米イラン対立では、逆の動きが起きた。

順を追って説明する。まず、米イランの和平協議が4月12〜13日に決裂した。これを受けてホルムズ海峡封鎖への懸念が再燃し、WTI原油は約101.50ドルに急騰した。原油が上がると、輸送コストや電力コストを通じて物価全体が上昇する。つまりインフレ懸念の再燃だ。インフレが続くとFRBは利下げを急げない。現在の米10年国債利回りは4.35%で、「高い金利が続く」という見通しが強まった。

ここで金に売りが入る理由がある。金は利息を生まない資産だ。国債や預金が高い利息を生む環境では、わざわざ利息ゼロの金を持つ理由が薄れる。これが「金利上昇は金価格の逆風」と言われるメカニズムだ。

図解

📌 キーポイント:なぜ金利が上がると金が下がるのか
金は株や債券と違い、持っていても利息や配当が発生しない。金利が高い局面では「利息が付く国債」や「高利回りの預金」のほうが有利と判断され、金から資金が流出しやすくなる。逆に「金利が下がる」と見込まれると金に資金が集まる。

「高ベータ資産」化が意味すること

ブルックス氏の指摘を噛み砕くと、次のようになる。「高ベータ資産」とは、市場全体の動きを増幅して動く資産のことだ。株式でいえばハイテク株や小型成長株がこれに当たる。安全資産は市場が混乱しても下がりにくいのが特徴だが、高ベータ資産は混乱時にむしろ大きく売られる。

金が高ベータ資産化した理由は、2025年から2026年初頭にかけての急騰にある。1年前比で約100%上昇したピーク時(2026年1月28日)に向け、多くの投機的な資金がレバレッジをかけて流入した。こうした投機筋が市場に動揺が走ると、損失を穴埋めするために金を真っ先に売る。安全資産のはずの金が、パニック時に真っ先に売られる「換金資産」になっているのだ。

ブルックス氏によれば、直近6週間で金は約10%下落した。一方、同期間のS&P 500の下落は1%未満にとどまった。安全資産なら市場混乱時に上昇するか、少なくとも株より下落が小さいはずだが、現実は逆だった。

【DMM 株】口座開設

月足チャートに点灯した警戒シグナル

テクニカル分析の観点からも警戒すべき状況が生じている。Kitco Newsが報じたヘレウスの分析では、月足チャートに「ベアイシュ・エングルフィングパターン」が形成されたとされる。これは、直前の月の値動きを丸ごと包み込む形で下落した月が出現するパターンで、相場の転換を示唆するシグナルとして広く知られている。

過去の事例が示すリスクは大きい。2022年4月に同じパターンが出現したとき、金はその後6ヶ月で約2,000ドルから1,600ドルへと20%下落した。今回もこのシグナルが機能するとすれば、当面の下値目標はサポートラインとされる3月安値付近の約4,100ドルとなる。現在値の4,731ドルからは13%程度の下落余地がある計算だ。

ただし、長期的な強気見通しを撤回する動きはまだ少ない。スイスの民間銀行UBPは急落局面でいったん金ポジションを解消したものの、再取得に踏み切り、年末目標を6,000ドルに設定していることをブルームバーグが報じた(公開日: 2026-04-13)。

私たちの生活への影響

金価格の下落は投資家だけの話ではない。

まず、円安が進んでいる現状では、円建ての金価格は円安分だけ高くなる。ドル建て金価格が下がっても、円安が同時に進めば国内の金投資家の損失は限定的だ。逆に言えば、円高局面では金のドル建て下落に円高が加わり、二重の打撃になる。

次に、金の調整はインフレ懸念と表裏一体だ。今回の下落を招いた「米イラン対立→原油高騰→インフレ再燃」というシナリオが続けば、輸入原油に依存する日本の物価も上昇圧力にさらされる。ガソリン代や電気代、食品価格への波及が考えられる。

株・投資信託ならネット証券のマネックス

今後の注目点

次に金価格の方向性を左右するのは、以下の3点だ。

まず米イランの協議再開の可否。協議が再開・進展すれば原油高が一服し、インフレ懸念が後退して金の買い戻しが入りやすい。逆に協議が長期膠着すれば「インフレ高止まり→金利高止まり→金の重荷」が続く。

次にFRBの政策スタンス。5月のFOMC(連邦公開市場委員会)でパウエル議長の後任人事も絡む中、FRBが「年内利下げ余地を明示する」か「インフレ優先で維持継続を示す」かで金の方向感が変わる。

3つ目はテクニカルの4,100ドルサポート。このラインを維持できれば調整は一時的と判断されやすく、割り込むと6ヶ月単位での下降局面が視野に入る。

松井証券

個人投資家が意識すべき3つのポイント

  1. 金は「有事に必ず上がる」わけではなくなった
    レバレッジを利かせた投機資金が大量流入した結果、有事の換金売りで下落するケースが増えている。ポートフォリオに金を組み込む場合は「安全資産」という前提を見直す必要がある。
  2. 月足のベアイシュシグナルは長期の変化を示す
    週足・日足と違い月足のパターンは数ヶ月単位で機能する。4,100ドルのサポートを守れるかどうかが今後の判断基準になる。短期の値動きに一喜一憂せず、このラインを注視したい。
  3. 円建て金価格には為替の影響が加わる
    ドル建て金価格が下落しても、円安が同時に進めば円建て価格は相殺される。為替動向とセットで確認する習慣をつけたい。現在ドル円は159円台であり、円安基調が続く限り円建て金への影響は緩和される。

XMTradingで金CFDを取引する強み

  • ✓ 金(XAUUSD)のCFD取引に対応、国際金市場に連動したリアルタイム取引
  • ✓ スプレッドが比較的タイトで取引コストを抑えやすい
  • ✓ MT4・MT5両対応、日本語サポートが充実
  • ✓ 新規口座開設ボーナスあり、少額から始めやすい環境
  • ✓ デモ口座でリスクゼロの練習が可能
XMTradingで無料口座開設 →

※当サイトに掲載する情報は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品、為替、貴金属等への投資、取引、または売買を勧誘・推奨するものではありません。投資および取引には価格変動等のリスクが伴います。当サイトの情報を利用したことにより生じた損失、損害、トラブル等について、当サイトおよび運営者は一切の責任を負いかねます。最終的な投資判断は、必ず読者ご自身の判断と責任において行ってください。

ホッホ博士
マネー比較ラボ編集部
金融市場・世界情勢・仮想通貨・FXに関するニュースや解説記事の作成、金融サービスの比較を行っています。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次