世界最大の資産運用会社BlackRock(ブラックロック)のラリー・フィンクCEOが2026年の年次株主書簡で「トークン化はインターネット以来の金融変革だ」と宣言した。CoinDeskが3月23日に報じたところでは、BlackRockのデジタル資産関連ビジネスは合計約1,500億ドル(約22.5兆円)規模に達している。
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BlackRockのトークン化戦略 ― 3本柱の全貌
第1の柱はBUIDL(ビルド)だ。正式名称「BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund」は、米国債などの安全資産をブロックチェーン上で運用するトークン化ファンドで、現在世界最大の規模を持つ。従来の投資信託では売買に数日かかる決済が、BUIDLではブロックチェーン上で即時に完了する。つまり「投資信託のスピードを、銀行振込並みに速くする」仕組みだ。
第2の柱はステーブルコイン準備金の管理だ。BlackRockはUSDC(米ドル連動型ステーブルコイン)の裏付け資産として約650億ドルを管理している。Circle株が急騰した記事で解説したとおり、USDCは急成長中のステーブルコインだ。その裏付け資産をBlackRockが管理しているということは、伝統的な金融の巨人がデジタル通貨のインフラを直接支えていることを意味する。
第3の柱はデジタル資産ETP(上場投資商品)だ。ビットコインETFやイーサリアムETFなど、BlackRockが提供する暗号資産関連の上場商品は約800億ドルの規模に成長した。
トークン化とは、株式・債券・不動産などの資産をブロックチェーン上のデジタルデータ(トークン)に変換することだ。手紙が電子メールになったように、紙の証券がデジタルトークンになる。利点は3つ。決済が即時化する(数日→数秒)。24時間365日取引できる。小口に分割して少額から投資できる。BlackRockのBUIDLは米国債をトークン化した代表的なファンドだ。
なぜフィンクCEOは「インターネット以来」と言うのか
フィンクCEOは株主書簡で「世界の人口の半分がスマートフォンにデジタルウォレットを持っている。そのウォレットから長期投資ができたらどうか」と問いかけた。この発言の背景には、金融サービスへのアクセス格差がある。現在、株式や債券に投資するには証券口座の開設、本人確認、送金手続きなど複数のステップが必要だ。トークン化された資産であれば、スマートフォンのウォレットアプリから直接、世界中の資産に投資できる。
フィンクはこの変化を「手紙から電子メールへの転換」に例えている。1996年にインターネットが商業化された時、郵便がなくなるとは誰も思わなかった。しかし実際には、コミュニケーションの大半がデジタルに移行した。同じことが金融で起きるというのがBlackRockの見立てだ。RWAトークン化市場が269億ドルに拡大した記事で報じたとおり、この流れはすでに始まっている。
私たちの生活にどう関係するか
投資の最低金額が下がる。トークン化された米国債ファンドなら、従来の投資信託の最低購入額(数万円〜)より小さい単位で購入できるようになる可能性がある。金のトークン化も同様の流れにある。
決済が速くなる。従来の株式売買では、約定から決済(お金が動く)まで2営業日かかる。トークン化された証券では即時決済が可能だ。これは「売ったお金がすぐに別の投資に回せる」ことを意味し、資金効率が大幅に改善する。たとえば、米国債を売却して得た資金で即座にETFを購入するといった操作が、ブロックチェーン上ではリアルタイムで完結する。従来の金融では「T+2」(取引日の2営業日後に決済)が標準だったが、この待ち時間がゼロになるインパクトは極めて大きい。
ステーブルコインが日常の金融インフラに組み込まれつつある。BlackRockが650億ドルのUSDC準備金を管理しているという事実は、ステーブルコインがもはや暗号資産の「ニッチな道具」ではなく、世界最大の資産運用会社が関与する金融インフラであることを示している。SECの暗号資産分類で規制の枠組みが整備されつつある中、この動きは加速する。
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今後の注目点
第一に、BUIDLファンドの運用規模の拡大ペースだ。現在のRWAトークン化市場は約269億ドルだが、BlackRock単体で1,500億ドル規模のデジタル資産を扱っている。BUIDLが他の資産クラス(社債、不動産など)にも拡大すれば、トークン化市場は急速に成長する。
第二に、競合の動向だ。JPモルガンのOnyx、Citiのトークンサービスなど、他のウォール街の大手も同様の取り組みを進めている。BlackRockの参入は競争を加速させ、手数料の引き下げやサービスの多様化につながる。
第三に、規制の進展だ。米議会では3月25日にトークン化に関する公聴会が予定されている。SECの暗号資産分類と合わせて、規制の枠組みが固まれば、機関投資家の本格参入が始まる。
個人投資家が意識すべき3つのポイント
1. トークン化は「暗号資産の話」ではなく「金融インフラの話」と認識する。BlackRockの1,500億ドルは、ビットコインやイーサリアムの価格とは直接関係ない。米国債やステーブルコインという「堅い資産」のデジタル化が本質であり、暗号資産の価格変動リスクとは別の話だ。
2. BTC ETFの資金フローを確認する。BlackRockのBTC ETFは直近3週連続で資金流入を記録し、AUM(運用資産残高)は約1,280億ドルに達している。機関投資家が暗号資産をどの程度受け入れているかを測る指標として有用だ。
3. 「トークン化された投資商品」が日本で買えるようになる時期に注目する。現時点ではBUIDLなどの商品は日本の個人投資家が直接購入するのは困難だ。しかしSBIや野村など日本の金融機関もトークン化に関心を示している。規制が整備されれば、数年以内に日本でもトークン化商品が一般に販売される可能性がある。
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