SpaceXがSECにIPO申請——2025年売上186.7億ドル・Starlink61%、日本の三菱重工・川崎重工・IHIへの波及

当ページのリンクには広告が含まれています。

イーロン・マスク氏が率いるスペースXが2026年5月20日、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)向けのS-1登録届出書を公開ベースで提出した。フォーチュンによると、2025年通期の連結売上高は186億7,400万ドル、営業損失は25億8,900万ドル、調整後EBITDAは65億8,400万ドルだ。ティッカーは「SPCX」、ナスダックとナスダック・テキサスの二重上場を予定する。評価額は2兆ドル規模、調達額は最大750億ドルになる見通しで、史上最大級のIPOとなる。日本の宇宙関連株である三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)、IHI(7013)にも波及する材料だ。

【2026年最新】個別株におすすめのネット証券会社ランキング4選

目次

S-1の中身——スターリンクが収益の61%

S-1で開示された数字のうち、収益構造の核はスターリンク事業。スペースニュースによると、スターリンクの2025年売上高は114億ドルで前年比+50%、EBITDAは72億ドル、調整後利益率は63%に達する。連結売上186.7億ドルのうち61%をスターリンク単体が占め、ロケット打ち上げサービスを含む全体を黒字化に近づける牽引役となっている。

2026年第1四半期(1〜3月)単独では、売上46億9,400万ドル、営業損失19億4,300万ドル、調整後EBITDA 11億2,700万ドル。Q1だけで2025年通期売上の25%を稼いでおり、四半期ベースで急加速していることが分かる。打ち上げ実績は2025年に165回(月平均約14回)、ファルコン9の同一機体最大29回再使用、機体は最大40回まで再利用認証済みだ。主幹事はゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカで、20社超の引受団が組成される。

SpaceX S-1の主要数字とH3ロケット比較

上場スケジュール——6月12日ナスダック上場目標

スペースXは2026年4月1日にSECへ秘密ベース(confidential)のS-1を提出していたが、5月20日に公開ベースに切り替えた。ブルームバーグが5月16日に報じた通り、上場前に5対1の株式分割を実施済みである。ロイターの独占報道によると、ロードショー(機関投資家向け説明会)は6月4日の週から開始、価格決定は6月11日、ナスダック上場は6月12日が目標スケジュールとなる。

調達資金の使途は、スターシップロケットの打ち上げ頻度引き上げ、将来の月面基地建設、軌道上AIデータセンター構想の3つが柱として説明されている。これまでスペースXは「スターシップに150億ドル超を投じ、ロケットを航空便のような運航スケジュールに近づける」(The Next Web)と説明してきた。上場で750億ドルが入れば、スターシップの量産フェーズが現実味を帯びる。

日本の宇宙関連株——三菱重工・川崎重工・IHIの位置

日本の基幹ロケットH3は、三菱重工業が運用主幹で、IHIが第1段エンジン「LE-9」、川崎重工業がフェアリングと衛星分離部を担う。JAXAは2026年4月24日、H3ロケット6号機(30形態試験機)の打ち上げを6月10日に種子島宇宙センターで実施すると発表した。固体ブースターを搭載しない新形態の初飛行で、ペイロード性能と低コスト化を確認する重要な試験機である。

IHIが開発したLE-9エンジンは、液体水素・液体酸素の1段用エンジンで、真空推力1,500キロニュートン級。これはH-IIAロケットの旧型LE-7Aの約1.4倍にあたる。エキスパンダーブリードサイクルを1段エンジンとして世界で初めて実用化した点が技術的特徴である。一方で、Type2エンジンは2026年4月時点で開発試験段階にとどまり、量産・本格運用までには時間を要する。川崎重工業は、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」の運用知見を活かし、月周回有人拠点「Gateway」国際居住棟の温湿度制御装置、火星衛星探査計画「MMX」のロボットアームとサンプルリターンカプセルも開発している。

規模感では、スペースXの2025年165回打ち上げに対し、H3は年間6回前後を目標にしている。再使用ではファルコン9が圧倒的に先行する。ただしH3 1機あたりの想定価格は約50億円で、衛星打ち上げ市場での価格競争力は維持されている。日本の3社は、防衛・航空エンジン事業との複合体として、スペースXとは異なる収益構造で動いている。

個人投資家が意識すべき3つのポイント

第1に、スペースXは日本の個人投資家が新規IPO時に直接買い付けるのが難しい。米国IPOのブックビルディングは日本のネット証券では原則アクセス対象外であり、上場後にナスダック市場で取得するルートが現実的である。間接エクスポージャーとして、日本の宇宙関連株を保有する意味は大きい。三菱重工業・川崎重工業・IHIはすべて防衛・航空・エネルギー事業を併せ持つ複合企業のため、宇宙単体の業績変動は限定的だが、テーマ性の追い風は受けやすい。

第2に、スペースXの上場でテーマが沸騰した直後の調整リスクを意識すべきである。2023年9月にナスダック上場したArm Holdings(ソフトバンクグループ子会社)も、上場直後の熱狂が冷めた後に半導体関連株がいったん調整した経緯がある。テーマ買いに乗る場合は、エントリータイミングを上場日から数週間後にずらす運用が選択肢になる。

第3に、スターシップと軌道上AIデータセンター構想は、衛星通信(KDDI(9433)のスペースモバイル協業)、半導体(冷却・電源技術)、防衛(三菱重工業)、エネルギー(電力・水素)に裾野が広がる。SpaceXのS-1で示された総市場(TAM)は28.5兆ドルと巨額であり、関連テーマは長期で続く可能性が高い。1〜2銘柄に集中せず、複数業界の関連株でポートフォリオを組む方が、テーマ全体の上振れを取りやすい。

moomoo証券【WEB】

※当サイトに掲載する情報は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品、為替、貴金属等への投資、取引、または売買を勧誘・推奨するものではありません。投資および取引には価格変動等のリスクが伴います。当サイトの情報を利用したことにより生じた損失、損害、トラブル等について、当サイトおよび運営者は一切の責任を負いかねます。最終的な投資判断は、必ず読者ご自身の判断と責任において行ってください。

ホッホ博士
マネー比較ラボ編集部
金融市場・世界情勢・仮想通貨・FXに関するニュースや解説記事の作成、金融サービスの比較を行っています。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次