フランス中央銀行(バンク・ド・フランス)が、米ニューヨーク連邦準備銀行に保管していた金129トンを売却し、欧州で同量を買い戻すことで約110億ユーロ(約2.5兆円)の利益を得ていたことが明らかになった。G7の中央銀行が金準備を「投資商品」として積極運用した異例のケースだ。
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フランス中銀が金129トンを「売って買い戻した」理由
Kitcoが4月6日に報じたところでは、フランス中銀は以下の3ステップで巨額の利益を確定した。
まず、ニューヨーク連銀の金庫に保管されていた金129トンを、金価格が史上最高値圏にあるタイミングで売却した。次に、欧州の市場で同じ量の金をニューヨークよりも安い価格で購入した。最後に、買い戻した金をパリ郊外のラ・スーテレーヌ金庫に搬入した。
この取引により、フランス中銀の2025年度決算は29億ユーロの赤字から一転、81億ユーロの黒字に転換した。つまり金の売買だけで約110億ユーロ(約2.5兆円)の利益を生み出したことになる。
ヴィルロワ・ド・ガロー総裁は「政治的な動機ではない」と説明しているが、米仏間の関税摩擦が続く時期にニューヨークから金を引き揚げたタイミングは外交的に注目を集めている。
各国の中央銀行は外貨準備の一部として金を保有している。通常は「もしもの時の保険」として保管するだけだが、フランス中銀は今回、価格差を利用して積極的に利益を出した。日本銀行も約846トンの金を保有しているが、こうした売買は行っていない。
なぜニューヨークとパリで金の価格が違うのか
一般的に金は世界共通の価格で取引されると思われがちだが、実際には保管場所によって数%の価格差が生じることがある。ニューヨーク市場(COMEX)はデリバティブ取引の中心で、需給バランスや先物のプレミアムにより現物価格が高くなりやすい。一方、欧州のロンドン・チューリッヒ市場では現物の流通量が多く、やや安い価格で購入できる場合がある。
フランス中銀はこの地域間の価格差を利用した。129トンという大量の金を一括で売買できるのは中央銀行だからこそであり、個人投資家が同じ手法を取ることは現実的ではない。
「金を米国から引き揚げる」動きは他国にも広がるか
今回の取引で最も注目すべきは、フランスの金準備がニューヨークから完全に引き揚げられたという事実だ。フランスの金保有量2,437トンは全てパリに集約された。冷戦時代から続いてきた「主要国の金はニューヨーク連銀が安全に保管する」という暗黙のルールに、G7の中銀が自ら風穴を開けた格好だ。
これが他国に波及するかが次の焦点となる。ドイツ連邦銀行は2013年からニューヨーク保管分の金をフランクフルトに移送するプログラムを進めていたが、フランスの今回の動きはさらに踏み込んでいる。売却益まで確定させた上での「完全引き揚げ」だからだ。中国やインド、トルコといった新興国の中央銀行は以前から自国内保管を進めているが、西側G7の中核国がこの流れに加わったことは、米国の金融インフラへの信頼に微妙な変化が起きている証左と言える。
背景には、中央銀行全体で金への投資が加速しているという大きな流れがある。2025年の中央銀行による金購入量は1,030トンと過去最高ペースだった。Kitcoが同日報じたメリルリンチのアナリスト・アヴィオーリ氏の分析によると、金の構造的な強気要因として「米国の財政赤字拡大」「ドル安トレンドの再開」「中央銀行の準備分散」の3つが挙げられている。
ゴールドマン・サックスは2026年末の金価格目標を5,400ドル、JPモルガンは最大6,300ドルとしている。4月7日時点の金価格は約4,670ドルで、ゴールドマン目標まで約15%の上昇余地がある計算だ。
一方、ホルムズ海峡封鎖をめぐる米・イラン対立は金価格に大きな上下リスクをもたらしている。4月7日夜(米東部時間20時)のトランプ大統領の期限が迫っており、停戦が成立すれば金は急落、軍事行動に移れば急騰する可能性がある。
金は直近1カ月で9%下落 — それでも年間+49%の上昇
Yahoo Financeの4月6日のデータによると、金は直近1カ月で約9.2%下落しているが、1年前の2,981ドルからは約49%上昇している。3月の米雇用統計が予想の3倍近い17.8万人増となったこともあり、FRBの利下げ期待は後退。政策金利4.75%の維持が長期化する見通しで、金利のつかない金にとっては逆風だ。
ただし、メリルリンチのアヴィオーリ氏は「イラン戦争の影響が薄れれば、構造的な需要ドライバーが再び主導権を握る」との見方を示している。短期的な地政学ショックの振幅は大きいものの、中央銀行の購入や財政赤字といった長期的要因は変わっていないという分析だ。
個人投資家が意識すべき3つのポイント
1. フランス中銀の動きは「金は持つだけの資産ではなくなった」ことを示す
中央銀行が金準備を積極運用し始めたことは、金が単なる保険ではなく、リターンを生み出す資産として再評価されていることを意味する。個人投資家も金ETF(1540.T等)や純金積立を通じて、ポートフォリオの一部として金を保有する意義が増している。
2. 4月7日夜のイラン期限は、金の短期方向を決める最大の分岐点
停戦なら金は急落(90ドル台への下落も)、軍事行動なら急騰(5,000ドル再挑戦も)という二項対立の局面。ポジションを取るなら損切りラインの設定が必須だ。
3. 円建て金価格は「金価格 × ドル円」の掛け算で動く
金が4,670ドル、ドル円が159.7円の現在、円建てでは1グラムあたり約2.4万円前後。ドル円が160円台に乗るかどうかも、円建てリターンに大きく影響する。
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