米国上場のビットコインETFが2026年5月18日、1日で6億4,864万ドルの純流出を記録した。The Blockによると、1月以来の単日最大流出で、2026年に入って3番目の規模となる。ブラックロックのIBITが4億4,836万ドル、ARK・21SharesのARKBが1億964万ドルを失った。これに先立つ前週(5月11〜15日)もデジタル資産ファンド全体で10億7,000万ドルが流出し、7週ぶりに資金流入が反転した。一方でXRPとSolanaには資金が流入しており、ビットコイン一強の構図に変化が出ている。
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1週間で10億7,000万ドル流出——CoinShares Vol.285の中身
CoinSharesのリサーチ責任者ジェームズ・バターフィル氏が5月18日に公表した週次レポートによると、5月11〜15日のデジタル資産投資商品から10億7,000万ドルが流出した。ビットコインが9億8,200万ドル、イーサリアムが2億4,900万ドルの流出で、イーサリアムは1月30日以来の最大規模となった。地域別では米国が11億4,000万ドルの流出で全体を主導し、欧州はスイス・ドイツ・オランダで純流入を確保した。
運用資産残高(AUM)は前週末の1,590億ドルから1,570億ドルに減少した。バターフィル氏はレポートで「イラン関連の地政学リスクが再燃したことが主因で、ビットコインの流出に集中した」と説明する。ただし全11銘柄で100万ドル超の流入が残っており、CLARITY法案の進展で個別銘柄への選別買いは続いている。
XRPとSolanaに資金が向かった理由
同週、XRPには6,760万ドル、Solanaには5,510万ドルの純流入があった。バターフィル氏は両資産について「直近数週間の流入加速がさらに進んだ」と指摘した。Tonに770万ドル、Suiに470万ドル、Ondoに410万ドル、Chainlinkに390万ドル、Dogecoinに320万ドルの流入も確認された。投資家がビットコインとイーサリアムを離れ、選別的にアルトコインへのエクスポージャーを取りに行っている動きが鮮明だ。
moneyhikakulab.jp 5月14日のCLARITY法案記事 で取り上げた通り、上院銀行委員会は5月14日に同法案を15対9で可決した。法案が7月初旬に大統領署名で成立すれば、XRPは「デジタル商品」として連邦法で位置付けが確定する。年金基金や保険会社、ソブリン・ウェルス・ファンドが保有しやすくなるため、機関投資家が先回りでポジションを取りに来ている構造である。Solanaも同様にスポットETFの新規上場期待が資金流入を後押ししている。
背景はイラン情勢と米長期金利
ビットコインの価格は5月19日、7万6,902ドル(午前7時12分、米東部時間)まで下落し、5月1日以来の安値を付けた。ヤフー・ファイナンスによると、トランプ大統領がイラン関連の攻撃を見送る発言をした後に下落幅が広がった。イーサリアムも2,115ドルまで売られ、4月7日以来の安値となった。
マクロ要因も逆風として効いている。米10年債利回りは5月19日に4.66%まで上昇し、利回りを生まないビットコインに対する相対的な魅力を削いだ。5月のFOMCで利下げが見送られた(議事要旨は5月21日公表予定)ことや、米財政赤字拡大への懸念が金利を押し上げており、リスク資産全般から資金が引いている局面だ。
日本の個人投資家にとって何を意味するか
第1に、ビットコインETFの単日流出は1月以来の大きさだが、年初からの累積純流入はIBITだけで653億ドルが維持されている。一時的な流出と中長期の資金流入は別の指標として分けて見る必要がある。短期の値動きに振り回されず、年単位の累積フローを確認することが現物投資の判断軸として有効だ。
第2に、XRPとSolanaへの流入は「規制が確定した暗号資産」と「ETFが認められそうな暗号資産」に資金が集まる構造を示している。日本でも金融庁が暗号資産の分類見直しを進めているが、海外の制度進展のスピードが個別銘柄の中長期評価を左右する点は同じである。日本の暗号資産取引所で取り扱う銘柄を選ぶ際も、規制ステータスの進捗を1つの判断軸にできる。
第3に、円建てで投資している日本の個人投資家には、ドル円159円台の円安が同時並行で効いている点に注意したい。ビットコインのドル建て価格が7万6,902ドルに下落しても、円建てではドル円14.65円分の円安効果が乗る。仮想通貨の損益を見るときは、ドル建ての価格変動と円換算後の評価額を分けて確認する習慣をつけたい。
個人投資家が意識すべき3つのポイント
第1に、暗号資産はマクロ要因(米金利・地政学リスク)で他のリスク資産と同じ方向に動く局面が増えている。「ビットコインはデジタルゴールドで地政学リスクヘッジになる」という構図は2026年に入って明確に崩れており、ポートフォリオ全体のリスクオフ反応を取りに行く資産として扱う方が現実に即している。
第2に、機関投資家の資金フローは個別銘柄選定の重要なシグナルとなる。CoinSharesの週次レポートは無料で公開されており、ビットコイン・イーサリアム以外のアルトコインに資金が動いている動きを早期に捉える手段として活用できる。XRPとSolanaへの流入はその先例である。
第3に、暗号資産ETFはまだ初期段階の商品である。1月のローンチから1年半で、IBITは653億ドルの累積流入を集めた一方、5月18日に1日で4億4,836万ドルが流出した。資金フローの振れ幅は伝統的なETFよりはるかに大きい。短期売買ではなく長期保有を前提とする場合でも、四半期ごとに保有比率を確認しリバランスする運用が必要となる。
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