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KADOKAWA、本日5/14通期決算発表——出版9割減益・アニメ赤字転落の影で、第4四半期『推しの子』『リゼロ』の巻き返しに注目

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5月14日、KADOKAWA(東証プライム 9468)が2026年3月期の通期決算を発表する。会社が示している通期営業利益予想は103億円で、前期比38.1%減と大幅な減益見込みだ。2025年11月には期初予想の167億円から103億円へ下方修正済みで、第3四半期累計(2025年4〜12月)の営業利益も63.77億円(前年同期比59.7%減)と、通期予想に対する進捗率は61.9%にとどまっている。本日の発表で残り3カ月にどこまで巻き返せたか、そして来期(2027年3月期)の業績見通しがどう示されるかが焦点となる。

KADOKAWA第3四半期セグメント別営業利益
目次

11月の下方修正と第3四半期までの進捗

KADOKAWAは2025年11月6日、2026年3月期の通期業績予想を下方修正した。営業利益は167億円から103億円へ、経常利益は198億円から124億円へ、当期純利益は116億円から49億円へと、いずれも大幅な引き下げとなった。下方修正の主な理由は、出版・IP創出事業とアニメ・実写映像事業の想定下振れ、そして子会社の動画工房に関するのれん償却27億円の特別損失計上だ。

2026年2月12日に開示された第3四半期累計の連結業績は、売上高2,029.91億円(前年同期比1.7%減)、営業利益63.77億円(同59.7%減)、経常利益91.07億円(同47.1%減)、当期純利益22.11億円(同70.0%減)。通期会社予想に対する進捗率は、営業利益で61.9%、当期純利益で45.1%にとどまる。残り3カ月(2026年1〜3月)で営業利益ベースで約40億円を積み上げる必要があり、ハードルは決して低くない。

KADOKAWA 2026年3月期 通期営業利益の推移
キーポイント:のれん償却とは何か
企業を買収した際、買収価格が買収先企業の純資産額を上回った差額を「のれん」として資産計上する。買収先の収益力が当初の想定を下回ると、計上したのれんを一括または前倒しで費用計上する必要が生じ、これを「のれん減損」と呼ぶ。今回、KADOKAWAは動画工房(アニメ制作子会社)の業績見通しを切り下げた結果、27億円ののれん減損損失を特別損失として計上した。

セグメント別に分かれた明暗

KADOKAWAの第3四半期累計をセグメント別に見ると、業績の明暗ははっきり分かれている。最も売上規模が大きい出版・IP創出事業は売上1,116.81億円で前年並みを維持したが、営業利益は6.23億円と前年同期比90.2%減という大幅な落ち込みとなった。要因は、国内タイトルの小規模化、電子書籍の売上認識タイミングの変更、人件費の増加だ。書籍は売上を維持しても利益率が圧縮される構造に陥っている。

アニメ・実写映像事業はさらに厳しく、売上316.32億円(同16.6%減)に対し営業損益は9.04億円の赤字となった。前年同期は47.05億円の営業利益を計上していたため、利益面では大きく後退した形だ。初アニメ化作品の構成比が高まり、既放映作品の二次利用収入が減少したことが響いた。アニメ制作はヒット作の二次利用(配信権・商品化権・海外ライセンス)が利益の柱となるため、新規作品中心の四半期は構造的に利益率が下がる。

一方で底堅さを示したのがゲーム事業とWebサービス事業だ。ゲーム事業は売上233.81億円(同11.6%減)、営業利益80.50億円(同7.0%減)と、前期に発売した『ELDEN RING』のダウンロードコンテンツ販売の反動減で減収減益ながら、絶対額の利益では他セグメントを上回る。第3四半期に発売されたフロム・ソフトウェアの新作『ELDEN RING NIGHTREIGN』が好調に推移したことが、減益幅を抑えた。

Webサービス事業(ニコニコ動画など)は売上162.49億円(同21.5%増)、営業利益21.87億円で前年同期の赤字から黒字転換した。2024年6月のサイバー攻撃からの本格回復が業績に反映されている。教育・EdTech事業(N高グループなど)も売上128.37億円(同13.4%増)、営業利益25.10億円(同10.9%増)と、生徒数の拡大が業績を押し上げた。

第4四半期の人気作投入と巻き返しシナリオ

残り3カ月で営業利益40億円を積み上げる必要がある中、KADOKAWAが第4四半期に投入する大型コンテンツに投資家の関心が集まっている。アニメ分野では『推しの子』『Re:ゼロから始める異世界生活』など、原作小説・コミックともに長期的なファン層を持つ作品が控えており、これらの放送・配信開始や関連商品の販売が業績にどこまで反映されるかが焦点となる。

『推しの子』はテレビアニメ第3期、『Re:ゼロから始める異世界生活』はテレビアニメ第3期と劇場版の展開が予定されており、いずれもKADOKAWAが原作出版・アニメ製作の中核を担う作品だ。これらのIPは過去にも、新シリーズ放映時に出版・グッズ・配信収入が同時に伸びる「IPの再活性化」パターンを示してきた。第4四半期の決算でアニメ・実写映像セグメントが赤字から黒字に戻るか、出版事業の利益率がどこまで回復するかが、本日の発表のひとつの見どころとなる。

もうひとつの注目点が来期(2027年3月期)の業績見通しだ。2026年3月期は人件費増・電子書籍の会計処理変更といった一時的な要因も含まれていたため、来期にこれらが正常化するか、それとも構造的な問題として続くかで、株式市場の評価は大きく変わる。会社が来期の営業利益見通しをいくらに置くか、配当政策を据え置くか減配にするかも、株主にとって重要な情報となる。

本日の決算で確認したい3つのポイント

5月14日に発表される通期決算で、個人投資家が確認したい数字は3つある。1つ目は通期営業利益の着地だ。会社予想103億円を超えるか、下回るか。第4四半期の人気作投入効果と出版事業の利益率改善が、進捗率61.9%からの巻き返しにどこまで寄与したかが見える。

2つ目はセグメント別の第4四半期業績だ。特に赤字転落したアニメ・実写映像事業が単四半期で黒字に戻ったか、出版・IP創出事業の利益率がQ1〜Q3の極端な低水準(営業利益率0.6%)から回復したかが、来期以降の業績の方向性を示す。

3つ目は来期(2027年3月期)の業績見通しと配当政策だ。一時的要因の剥落で利益が大きく戻るシナリオを会社が描いているか、それとも構造的な減益が続く見通しか。配当については、2026年3月期は中間16円・期末16円の年間32円を予定しており、来期の配当額がこれを維持できるかも個人株主にとっての関心事項となる。

個人投資家が意識すべき3つのポイント

1つ目は、KADOKAWAの業績がセグメントごとに動きが大きく異なる点を理解することだ。「出版が9割減益」というヘッドラインは強いインパクトを持つが、ゲーム事業と教育・EdTech事業は前年並みかそれ以上の利益を稼いでいる。複合企業の決算は全体の数字だけでなくセグメント別の内訳を見ないと、回復力や弱点が見えない。

2つ目は、IPビジネスの収益タイミングを理解することだ。アニメは制作中の四半期には費用が先行して計上され、放映後の二次利用(配信・グッズ・海外ライセンス)で利益が伸びる構造になっている。『推しの子』『Re:ゼロ』など人気作の新シリーズ展開は、第4四半期から翌期にかけて段階的に業績に反映されるため、四半期決算の数字を1点だけ見て判断するのは適切ではない。

3つ目は、推し活ファンの視点と投資家の視点を分けて考えることだ。KADOKAWAは多くのライトノベル・アニメ・ゲームの原作を抱える企業であり、ファンとしての応援と株式投資の判断は異なる軸で行う必要がある。エンタメ株は新作の成否・配信プラットフォームの動向・海外展開の状況など外部要因の影響を受けやすく、株価の振れ幅も大きい銘柄だ。ポートフォリオの中での比重を冷静に決めることが重要となる。

本日の決算発表後、株式市場がKADOKAWAの来期見通しと配当政策をどう評価するか、株価がどう反応するかは、エンタメ業界全体の市場評価を測るうえでも参考になる材料となる。

ホッホ博士
マネー比較ラボ編集部
金融市場・世界情勢・仮想通貨・FXに関するニュースや解説記事の作成、金融サービスの比較を行っています。
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