日本の長期金利が27年ぶり高水準 — 10年債一時2.39%、住宅ローン返済額はいくら増えるのか

当ページのリンクには広告が含まれています。

日本の10年国債利回りが30日、一時2.39%まで上昇し、1999年2月以来およそ27年ぶりの高水準を更新した。31日も債券市場では金利上昇圧力が続いており、市場は4月28日の日銀金融政策決定会合での追加利上げを織り込み始めている。住宅ローン金利への波及が現実味を帯びてきた。

松井証券
目次

なぜ日本の金利がここまで上がったのか

金利上昇の背景には、3つの要因が重なっている。

第1に、原油高によるインフレ圧力だ。イラン紛争の影響でWTI原油が100ドルを超え、日本の輸入物価が上昇している。日本経済新聞は「原油高に伴うインフレ懸念や、日銀の早期利上げ観測の高まりから債券売りが優勢」と報じている。

第2に、日銀の利上げ姿勢だ。植田和男・日銀総裁は3月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に据え置いたものの、追加利上げの可能性を明確に示唆した。Trading Economicsによると、市場は4月28日の会合で0.25%引き上げ(1.0%へ)を織り込み始めている。

第3に、投資家の「先読み」だ。日銀がさらに金利を上げると予想し、国債を売り始めている。国債が売られると価格が下がり、利回りが上がる。この「利上げ期待による国債売り」が、実際の利上げの前から金利を押し上げている。

📌 キーポイント:国債利回りと住宅ローンの関係
国債利回りが上がると、なぜ住宅ローン金利も上がるのか。銀行は住宅ローンの資金を調達するために市場からお金を借りている。その調達コストの目安となるのが国債利回りだ。固定金利型の住宅ローンは10年国債利回りに、変動金利型は日銀の政策金利(短期金利)にそれぞれ連動する。国債利回りが上がれば、銀行の調達コストが増え、住宅ローン金利も引き上げられる。

各年限の利回りが「異次元」の領域に

ブルームバーグが報じたところでは、日本国債の利回りは全年限で歴史的な水準に達している。

2年債利回りは26日時点で1.32%と、1996年以来30年ぶりの高水準だ。2年債は短期の金利見通しを反映するため、この上昇は「市場が日銀の追加利上げを確信している」ことを意味する。

5年債利回りは1.74%で、2000年の同年限債券の創設以来最高を記録した。30年債は3.71%に達し、超長期の資金調達コストも急上昇している。30日のブルームバーグ報道では「超長期債が大幅安」と伝えられ、生命保険会社など超長期債の主要な買い手にとって含み損の拡大が懸念されている。

27年前との違い — 今回の金利上昇が意味するもの

前回10年債利回りが2%台だった1999年は、日本がゼロ金利政策を導入する直前の時期だ。当時はバブル崩壊後の不良債権処理が進む中で、金利は「高い水準からゼロに向かう」途中だった。今回はその逆で、約25年間続いたゼロ金利の時代が終わり、「ゼロから上に向かう」局面にある。

この違いは大きい。1999年当時の住宅ローン利用者は、金利が下がっていく恩恵を受けた。しかし今回、特にここ数年の超低金利時代に変動金利で住宅ローンを組んだ人にとっては、これまで経験したことのない「金利が上がり続ける世界」に入ることを意味する。変動金利型住宅ローンの利用者は全体の約7割を占めており、影響を受ける層は広い。

株・投資信託ならネット証券のマネックス

住宅ローンへの影響 — 月々の返済はいくら増えるのか

日銀が4月に政策金利を1.0%に引き上げた場合、変動金利型の住宅ローンに直接影響が出る。

住宅ローン残高3,000万円、残り返済期間25年の場合で試算すると、政策金利が0.75%から1.0%に上がれば、変動金利は概ね0.25%上昇する。月々の返済額は約3,000円〜4,000円の増加となる。年間では約3.6万〜4.8万円の負担増だ。

さらに固定金利型も影響を受ける。10年固定金利は長期国債利回りに連動するため、10年債2.39%の水準が続けば、新規借り入れの固定金利は2%台後半に上昇する可能性がある。フラット35の金利も上昇圧力を受ける。

一方で、金利上昇には預金者にとってのメリットもある。銀行の定期預金金利は徐々に引き上げられており、「預けてもほぼゼロ」の時代は終わりつつある。

日本国債利回り上昇が住宅ローンに届くまでのフロー図

為替市場も連動 — ドル円は31日も介入警戒が続く

外為どっとコムの31日午前の予想では、ドル円は159.200〜160.500円のレンジが見込まれている。30日には三村財務官が「この状況が続けばそろそろ断固たる措置も必要になる」と発言し、円買い介入への警戒感が高まっている。月末・四半期末の特殊フローも加わり、値動きが荒くなりやすい。

日米の金利がともに上昇する中、金利差はドル有利のままだ。日銀の利上げペースがFRBの利下げ見送りに追いつかなければ、円安圧力は続く。現在のドル円159〜160円近辺はこの「金利差縮小への期待と現実のギャップ」を反映している。

【DMM 株】口座開設

今後の注目点

最大の焦点は4月28日の日銀金融政策決定会合だ。ここで0.25%の利上げが決定されれば、政策金利は1.0%となり、2008年以来の水準に達する。

第2に、国債市場の安定性だ。利回りの急上昇は国債価格の急落を意味する。銀行や生命保険会社が保有する国債の含み損が拡大すれば、金融システム全体のリスクにつながりかねない。日銀がどこまで市場の混乱を許容するかが問われる。

第3に、住宅ローン金利の改定タイミングだ。大手銀行は4月に住宅ローン金利の見直しを行う。10年固定金利がどの水準に設定されるかは、これから住宅購入を検討している人にとって重要な判断材料になる。

個人投資家が意識すべき3つのポイント

  1. 住宅ローンの金利タイプを再確認する。変動金利で借りている人は、日銀の利上げが直接返済額に影響する。残高と残期間を確認し、月々の返済額がどれだけ増えるかをシミュレーションしておく。固定金利への借り換えを検討する場合は、現在の長期金利水準と手数料を比較する。
  2. 債券投資は「短期債」を検討する。金利上昇局面では長期債の価格は下がりやすい。一方、短期債(残存期間2年以下)は金利上昇の影響が小さく、利回りも1%台と歴史的に高い水準にある。新規で債券投資を始めるなら、短期債や個人向け国債(変動10年)が比較的安全だ。
  3. 金利上昇は「預金者へのボーナス」でもある。銀行の定期預金金利が上昇し始めている。投資に回す余裕がない資金でも、定期預金に移すだけで以前よりリターンが得られる。ネット銀行の金利を比較し、少しでも有利な預け先を選ぶ価値がある。
moomoo証券【WEB】

※当サイトに掲載する情報は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品、為替、貴金属等への投資、取引、または売買を勧誘・推奨するものではありません。投資および取引には価格変動等のリスクが伴います。当サイトの情報を利用したことにより生じた損失、損害、トラブル等について、当サイトおよび運営者は一切の責任を負いかねます。最終的な投資判断は、必ず読者ご自身の判断と責任において行ってください。

ホッホ博士
マネー比較ラボ編集部
金融市場・世界情勢・仮想通貨・FXに関するニュースや解説記事の作成、金融サービスの比較を行っています。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次