NYダウ調整局面入り — リセッション確率49%、過去80年の歴史が示す「次に起きること」

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NYダウ調整局面・リセッション確率49%
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NYダウ調整局面入り — リセッション確率49%、過去80年の歴史が示す「次に起きること」

NYダウが最高値から10%超下落し、「調整局面」に入った。ムーディーズのAIモデルが算出する今後12カ月のリセッション(景気後退)確率は49%に達した。この数字が示す意味は重い。過去80年間、このモデルの数値が50%を超えたとき、1年以内に必ず景気後退が発生している。現在は49%、つまりその分岐点の直前にいる。

NYダウが調整局面に入るまでの経緯

2月10日、NYダウは50,188ドルという史上最高値をつけた。しかしその後、中東情勢の悪化を受けて下落が続き、3月27日の終値は45,166ドルとなった。下落率は約10%。テクニカル分析では過去の高値から10%以上下落した状態を「調整局面」と呼ぶ。

S&P500はこれで5週連続の下落となり、4年ぶりの連続記録だ。3月27日の終値は6,368ドル(-1.67%)で7カ月ぶりの安値。ナスダックも20,948ドル(-2.15%)と下落した。

リセッションまでの5段階の連鎖

なぜここまで下落したのか — 5つの連鎖

単純に「戦争だから株が下がった」ではない。そこには5段階の連鎖がある。

第1段階: 原油の急騰
2月末にイランとの軍事的緊張が激化し、ホルムズ海峡の通航量が大幅に制限された。世界の石油供給の約20%がこの海峡を通過する。供給が止まると、原油価格が急騰する。3月27日のブレント原油は前日比+4.22%の112.57ドルで引けた。1カ月で約36%の上昇だ。

第2段階: インフレ再燃の懸念
エネルギーが高くなれば、ガソリン代・電気代・輸送コストが上がる。コストが上がれば企業は商品の値段を上げる。消費者物価が上がる。これがインフレだ。3月27日発表のミシガン大学消費者調査では、1年先のインフレ期待が3.8%に急上昇した(前月3.4%)。2025年4月以来の最大月次上昇幅だ。

第3段階: FRB利下げ期待の消滅
年初、市場は2026年中に複数回の利下げを予想していた。しかし原油高でインフレ懸念が再燃したことで、その期待が完全に消えた。3月18日のFOMCでFRBは政策金利4.25〜4.50%を据え置いた。さらに市場は逆に年内利上げの確率を約25%で織り込み始めている。

📌 キーポイント:スタグフレーションとは
景気後退(スタグネーション)とインフレ(インフレーション)が同時に起きる状態を指す。通常、景気が悪くなれば物価も下がるが、スタグフレーションでは物価が上がりながら景気が悪化する。1970年代の石油危機で発生し、対処が非常に難しい経済状況とされる。今回の「原油高+消費者心理悪化」はスタグフレーションの初期症状と見られている。

第4段階: 消費者心理の悪化
3月27日発表のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)は53.3だった。速報値の55.5からさらに低下し、2025年12月以来の最低水準だ。注目すべきは、中間〜高所得層や株式保有者でも悲観が広がっていること。これまでは富裕層の消費が経済を支えていたが、そこにも亀裂が入り始めている。

第5段階: 雇用と成長率の悪化
2月の米国の非農業部門雇用者数は-9.2万人だった(市場予想+5.9万人)。2024年Q4のGDP成長率も速報値1.4%から0.7%へ下方修正された。経済の実態そのものが悪化している。

中国が報復調査を開始 — 5月のトランプ訪中前の駆け引き

米中関係にも新たな火種が生まれた。中国政府が米国を対象とした報復調査を2件開始した。対象は先端技術の輸出規制とグリーンエネルギー産業への障壁だ。5月にトランプ大統領の訪中が予定されており、その前の交渉カードとして使う狙いがある。米中対立が再燃すれば、グローバルサプライチェーンへの打撃が加わり、株式市場の下押し圧力になる。

日本への影響 — 原油高と円安で家計が直撃される

NYダウの下落は翌営業日の日経平均を押し下げる。しかしそれ以上に日本にとって痛いのは原油高だ。日本は原油の9割近くを輸入に依存しており、中東への依存度は中国・韓国を上回る。ブレント原油が112ドルを超えた状態が続けば、ガソリン・灯油・電気代・食品の値上がりを通じて家計が圧迫される。

さらにドル/円は160円台まで円安が進んでいる。輸入するものすべてが割高になる。財経新聞の推計では160円水準が続いた場合、1世帯あたり年間約9万円の家計負担増になる。

今後の注目点

ムーディーズのリセッション確率49%が50%を超えるかどうかが、最大の分岐点だ。今週(3月30日〜4月3日)に注目すべき経済指標が集中している。3月31日の米JOLTS求人件数と消費者信頼感指数、4月1日の米ADP雇用統計とISM製造業景況指数、そして4月3日の米雇用統計だ。

雇用統計が2月に続き弱い数字となればリセッション懸念が高まり、逆に強い数字であればインフレ・利上げ懸念が再燃する。どちらに転んでも市場の動揺が予想される局面だ。

地政学的には4月6日がイランへの米国の攻撃計画の停止期限とされていた。この前後で停戦交渉に進展があれば原油高が一服し、市場に安心感が戻る可能性もある。

個人投資家が意識すべき3つのポイント

1. リセッション確率49%を「まだ50%未満だから大丈夫」と楽観しない
ムーディーズのモデルによれば、過去80年間でこの数値が50%を超えるたびに1年以内に景気後退が発生した。現在は49%、つまり歴史的な分岐点の直前にいる。保有資産の守りを固め、現金比率を高めることを検討すべき局面だ。

2. スタグフレーション環境では「国際分散投資」が有効
インフレと景気後退が同時に起きる場合、株式・債券が同時に下落するリスクがある。金(ゴールド)は今週3週間ぶりに反発し(金価格記事を参照)、インフレヘッジとしての機能を発揮している。コモディティや物価連動債への分散も選択肢の一つだ。

3. 原油関連の生活コスト上昇に備える
ブレント原油112ドルが続けば、4〜6月の電気代・ガス代が大幅に上がる見通しだ。家計の「固定費の見直し」(電力会社の料金プラン、保険の見直しなど)をこのタイミングで行うことが有効だ。節約した分を積立投資に回す長期的な視点が重要になる。

ソース:

ホッホ博士
マネー比較ラボ編集部
金融市場・世界情勢・仮想通貨・FXに関するニュースや解説記事の作成、金融サービスの比較を行っています。
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