米連邦最高裁は20日、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に発動していた関税措置について、「権限を逸脱している」として違法との判断を下した。
最高裁は6対3の多数意見で、IEEPA(1977年制定)には関税を課す明示的権限は含まれていないと指摘。関税のような重大な経済措置については、議会が明確に定めるべきだとの立場を示した。
今回の決定は、トランプ政権の通商政策の根幹を揺るがす判断となる。
トランプ大統領「バックアッププランがある」
ただし、トランプ大統領は今回の判決を受け、「不名誉な判断だ」と強く反発。その上で、関税政策について「バックアッププランがある」と発言した。
関税は終わらない? 代替ルートが存在
今回否定されたのはIEEPAを根拠とする関税措置であり、トランプ大統領が他の法的枠組みを使う可能性は十分に残る。
具体的には:
- 通商拡大法232条(鉄鋼・アルミ関税などで使用)
- 通商法301条(対中関税で使用)
といった既存の法的手段がある。
ベッセント財務長官も、別ルートで関税を維持する用意があると表明しており、「関税撤廃」というよりは「法的再構築」とみる向きが強い。
数十億ドル規模の払い戻し問題
IEEPAに基づいて徴収された関税については、輸入業者への払い戻しが発生する可能性がある。
最高裁のカバノー判事は反対意見で、払い戻しプロセスが「混乱」になる恐れがあると警告。すでに価格転嫁が行われているケースも多く、実務面での混乱は避けられないとの見方だ。
払い戻し規模は数十億ドルに及ぶ可能性がある。
市場の反応:一時上昇も慎重姿勢
判決直後、S&P500指数は上昇。その後上げ幅を縮小する場面もあったが、消費関連株は持ち直した。
- ナイキ株は上昇(関税影響年間約15億ドル)
- アップル株も反発(関税影響約14億ドル)
- 消費関連セクターETFも上昇
関税コスト軽減への期待が一時的な買い材料となった。
しかし、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「どの関税が残るのか不透明な状況は経済活動の重しになる」と指摘。政策不透明感の高まりは、企業投資や消費マインドを冷やす可能性がある。
今後の焦点
今後のマーケットの焦点は以下の3点に集約される。
- トランプ政権がどの法的枠組みで再び関税を発動するのか
- 既徴収関税の払い戻しの規模と手続き
- 通商政策の不透明感が株式市場・ドル相場・インフレに与える影響
最高裁の判断は一つの節目ではあるが、関税政策そのものが終わったわけではない。
むしろ、トランプ大統領が示唆した「バックアッププラン」によって、通商政策は新たな局面へ移行する可能性がある。
市場は一旦安心感を見せたが、不透明感はむしろ増したとの見方も強い。

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