ビットコイン(BTC)は中東情勢の緊迫化を受けて上値の重い展開が続いている。執筆時点で価格は6万7000ドル前後。2月以降のレンジ内で推移しているものの、米国・イスラエルによるイラン攻撃とその報復が地政学リスクを高め、リスク資産全体に売り圧力がかかっている。
市場では、2022年のロシア・ウクライナ戦争勃発時の値動きとの類似性が指摘されている。
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2022年との類似点
ロシアがウクライナへ侵攻した2022年2月24日、ビットコインは当時の史上最高値6万9000ドルから約46%下落していた。
今回、イランを巡る軍事衝突が拡大した時点で、ビットコインは直近高値12万6199ドル(10月6日)から約48%下落している。下落率という観点では、両局面はほぼ同水準にある。
2022年当時、ビットコインは一時的に3万6000ドル台を維持しながら横ばいを続けたが、5月にレンジを崩壊。その後は短期レンジを次々に下抜け、最終的には1万5476ドルまで77%の下落を記録した。
現在も価格は6万2541ドル付近のフィボナッチ・リトレースメント(100%水準)上で持ちこたえているが、同じ構図をたどれば、1.618エクステンションに相当する約4万7400ドルが視野に入る。これは現水準から約30%の下落を意味する。
5万ドル台が重要防衛ライン
21Sharesの分析によれば、6万ドルを明確に割り込んだ場合、次の重要サポートは5万6000ドル近辺にあるとされる。
一方で、7万ドルを回復すれば7万4000ドルがレジスタンスとして機能する可能性がある。足元ではレンジ相場が続いているが、方向感が出ればボラティリティ拡大は避けられない。
ホルムズ海峡封鎖が重石に
今回の地政学リスクは、2022年とは異なる形で市場に影響している。
イランはホルムズ海峡封鎖の構えだ。世界の原油・天然ガスの約20%がこの海峡を経由しており、エネルギー供給不安が世界経済を揺さぶっている。
アジア市場は特に影響を受けている。韓国株は7%安、日本は6%安、インドや英国も3%下落。典型的なリスクオフ相場が広がっている。
さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が後退している。FedWatchツールによれば、4月29日の会合で政策金利が3.50~3.75%に据え置かれる確率は89%と見積もられている。利下げ期待が後退すれば、金利面での追い風は弱まる。
その結果、安全資産としての金が選好され、ビットコインは相対的に劣後する構図となっている。
下値を支える機関投資家マネー
もっとも、2022年と決定的に異なる点もある。
当時はテラ・ルナ崩壊や米地方銀行の連鎖破綻など、暗号資産市場内部の信用危機が重なった。現在はそのような構造的ショックは起きていない。
米国の現物ビットコインETFは、価格調整にもかかわらず保有残高を拡大している。月曜日時点でETFは合計127万BTCを保有。企業トレジャリーによる買い増しも継続している。
21Sharesは、こうした機関投資家需要が供給圧力を吸収し、大幅な下落を抑制する可能性を指摘する。
分岐点に立つビットコイン
中東戦争の長期化、ホルムズ海峡問題、株式市場の不安定化、利下げ期待の後退――これらが重なれば、ビットコインが5万ドル方向を試すシナリオは否定できない。
一方で、機関投資家マネーの流入が続けば、2022年型の77%暴落を再現する可能性は低下する。
現在のレンジは嵐の前の静けさか、それとも底固めの時間帯か。
ビットコインは、地政学リスクとマクロ環境という外部要因の交差点で、再び大きな分岐点に立っている。

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