USD/JPYは広範なドル高を背景に155円台を回復した。一方で、中東を巡る地政学リスクの再燃は、本来であれば安全資産としての日本円を下支えする材料となり得る。もっとも、足元では日本の財政政策と日銀の金融政策を巡る不透明感が、円の持続的な上昇を抑える要因となっている。
FXStreetによれば、DBSのチャン・ウェイ・リャン氏は、米国とイランの緊張再燃に言及している。トランプ大統領は合意がなければ今後10日以内にイランを攻撃する可能性があると警告し、イラン側も攻撃を受けた場合には敵対勢力のすべての基地や資産が正当な標的になると応じている。中東で紛争が長期化するリスクが高まれば、スイスフランや日本円に安全資産需要が入る可能性があると指摘する。
もっとも、日本の国内政策も円相場の方向性を左右する。日本の2026年度予算案は近く審議入りする予定であり、高市首相は食料品に対する消費税を2年間停止する協議を加速させる意向を示している。
これに対し、国際通貨基金(IMF)は、今後予想される債務返済費や社会保障費の増加を踏まえ、消費税率の引き下げは回避すべきだと日本に助言している。財政政策の明確化が進むまで、円高の持続は見込みにくいとの見方もある。
また、IMFは日銀が年内に政策金利を2回引き上げると予想し、日本の中立金利を1.5%と見込んでいる。金融政策の正常化が進めば日本円を支える要因となるが、そのペースやタイミング次第では円高の加速は限定的となる可能性がある。
足元の物価指標も判断を難しくしている。日本の1月の総合インフレ率は前年比1.5%と、前月の2.1%から鈍化した。一方で、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは前年比2.6%と高止まりしており、基調的な物価圧力は依然として残っていることを示唆している。
総じて、地政学リスクは円の安全資産需要を支える可能性があるものの、財政政策を巡る議論と日銀の利上げパスが、当面のUSD/JPYの方向性を決定づける主因となりそうだ。

※当サイトに掲載する情報は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品、為替、貴金属等への投資、取引、または売買を勧誘・推奨するものではありません。投資および取引には価格変動等のリスクが伴います。当サイトの情報を利用したことにより生じた損失、損害、トラブル等について、当サイトおよび運営者は一切の責任を負いかねます。最終的な投資判断は、必ず読者ご自身の判断と責任において行ってください。

