2026年4月8日、トランプ大統領が米国とイランの2週間停戦合意をSNSで発表した。これを受けて、それまで積み上がっていた「有事のドル買い」ポジションが一斉に解消され、円相場は一時1ドル=158円30銭まで上昇、約1週間ぶりの円高水準をつけた。しかし翌4月9日の朝には反落し、158円台後半へと戻す展開となっている。
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なぜ停戦合意で「ドル安・円高」になったのか
この動きを理解するには、「有事のドル買い」というメカニズムを押さえる必要がある。
世界で政治的な緊張や戦争リスクが高まると、投資家は最も安全とされる資産にお金を逃がそうとする。その代表が米ドルだ。3月から4月にかけてホルムズ海峡の封鎖リスクが高まる中、世界中の投資家がドルを買い集め、円は160円台まで売り込まれていた。
停戦合意が発表されると、この恐怖感が後退した。もはやドルを安全資産として抱え込む必要がなくなったため、ドルを売って円や他通貨に戻す動き(ポジション解消)が一気に広がった。
さらに追い打ちをかけたのが原油価格の急落だ。日本経済新聞によると、停戦合意を受けてWTI原油先物が1バレル当たり114ドル台から100ドル割れへと急落した(公開日:2026-04-08)。日本はエネルギーの大半を輸入に頼っているため、原油高が続くと貿易赤字が膨らみ円安要因になる。逆に原油が急落すると「日本の貿易収支が改善するかも」という期待が円買いを後押しした。
日本経済新聞によると、4月8日12時時点のドル円は1ドル=158円42〜44銭と、前日17時比で1円44銭の円高を記録。ユーロドルも1ユーロ=1.1673ドルへと上昇した。
翌9日朝に反落 — 停戦の持続性を市場が疑問視
ところが4月9日の朝には流れが変わった。日本経済新聞が9日朝に配信した記事によると、ドル円は1ドル=158円63〜65銭と、前日17時比で43銭の円安へ反落した(公開日:2026-04-09)。
背景にあるのは停戦の持続性への疑問だ。イスラエルがレバノン各地で大規模空爆を実施したと伝わり、中東の緊張が完全には収束していないとの見方が広がった。また、WTI原油も9日朝のアジア時間には97ドル台へと反発。日本の貿易収支悪化懸念が再燃し、円売り圧力が戻った。
停戦合意が2週間の猶予にとどまる限り、ドル円の動きはニュースに左右される展開が続く見通しだ。地政学的なリスクシナリオの詳細については、停戦合意と原油・日経先物の動きを解説した当サイト記事も参照してほしい。
日銀の追加利上げ観測70%超 — 円の下値を支える構造的な材料
停戦ニュースに翻弄される短期の動きとは別に、円相場には中期的な支えが存在する。日本銀行の追加利上げ観測だ。
為替情報サービスのFXStreetが配信したスコシアバンクの分析によると、市場は4月28日の日銀金融政策決定会合での追加利上げ確率を70%超と織り込んでいる(公開日:2026-04-08)。日銀は3月の前回会合で政策金利を0.75%に据え置いたが、次回の0.25%引き上げを市場の大半が予想している。0.75%という水準は、1995年9月以来の高水準だ。
日銀が金利を引き上げると、円での預金・債券の利回りが上がる。すると「円で運用した方が有利になる」として円への需要が増え、円高になりやすい。反対に、米国のFRBが金利を据え置けば日米金利差が縮小し、円高ドル安の方向に動きやすくなる。利上げ観測が強い間は、円の下値が支えられる状態が続く。
日銀が追加利上げを実施した場合、政策金利は現在の0.75%から1.0%に引き上げられる。これはドル円を155円台、場合によっては150円台へと押し下げる可能性がある材料だ。スコシアバンクは、日銀の引き締め継続を背景に円が構造的に強い状態にあると指摘している。
私たちの生活にどう影響するか
円高が進めば、輸入品のコストが下がる方向に働く。原油や天然ガスを大量に輸入している日本では、エネルギーコストの低下が電気料金やガス料金の抑制につながる可能性がある。食品・日用品の一部も、輸入原材料のコストが下がれば値上がりのペースが鈍化する場合がある。
一方で、輸出企業(自動車・電機メーカーなど)にとっては円高は逆風だ。海外で稼いだ利益を円に換算すると目減りするためで、円高が定着すると輸出関連株への下押し圧力となる。保有株の業種構成によって円高の影響は異なるため、自分のポートフォリオがどちらに傾いているかを把握しておくことが大切だ。
今後の注目点
- 4月中旬・米CPI発表:米国のインフレ指標が予想を上回れば、FRBの利下げ期待が後退し、ドル高・円安が進みやすくなる
- 4月28日・日銀会合:追加利上げが決定すれば円高圧力が一段と強まる。市場の70%超の予想どおりに動くかどうかが焦点だ
- 停戦の行方:2週間の猶予期間が終わった後、米・イラン交渉が進展するか注目。停戦が延長されれば円高・ドル安、交渉が決裂すれば再びドル高・円安に振れる可能性がある
個人投資家が意識すべき3つのポイント
停戦は「2週間の猶予」にとどまる:今回の合意は恒久的な和平ではなく、期限付きの停戦だ。ドル円は停戦ニュースに左右されやすい不安定な状態が続く。外貨建て資産を持つ投資家は、短期の為替変動に過剰反応せず、中期的な方向性(日銀利上げ・日米金利差縮小)を軸に判断することが重要だ。
4月28日の日銀会合が次の転換点:市場の70%超が追加利上げを予想している。実現すればドル円に大きな動きが出る可能性が高い。FX取引を行っている投資家は、会合前後のボラティリティ上昇に備えたポジション管理が求められる。
円高は輸入品コスト低下の方向:エネルギー・食料品を多く購入する一般家計にとって、円高定着はプラスに働く。一方、輸出関連株を多く保有している場合は逆方向の影響を受けることを念頭に置いてほしい。
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