中東情勢の緊張が高まる中、著名投資家レイ・ダリオ氏が、今回のイラン情勢について極めてシンプルかつ重い見方を示している。
結論は1つだ。
「すべてはホルムズ海峡の支配で決まる」
この海峡を誰がコントロールするか。それが、この戦争の勝敗だけでなく、世界秩序そのものを左右するという。
勝敗の基準は1つ 「航行の自由」を確保できるか
ダリオ氏によれば、今回の戦争における勝敗は明確に測定できる。
それは、ホルムズ海峡の航行の自由を確保できるかどうかである。
もしイランがこの海峡を封鎖、あるいは交渉カードとして利用できる状況が続けば、
- 米国は「敗北」と見なされる
- イランは「勝利」と見なされる
という構図になる。
ホルムズ海峡は世界のエネルギー輸送の要衝であり、その機能が損なわれれば、
- 世界経済
- エネルギー供給
- 国際秩序
に甚大な影響が及ぶ。
つまり、この問題は単なる地域紛争ではなく、世界システムそのものの安定性に直結している。
帝国はどうやって崩れるのか
ダリオ氏の議論が興味深いのは、これを単発の戦争としてではなく、歴史のパターンとして捉えている点だ。
過去を振り返ると、
- 英国とスエズ運河
- オランダ帝国の衰退
- スペイン帝国の没落
といった局面では、共通する構図があった。
それは、覇権国が重要な貿易ルートの支配を巡って挑戦を受け、そこで弱さを露呈するというパターンである。
この「決定的な一戦」に敗れると、
- 同盟国の信認が低下
- 資本が流出
- 通貨が弱体化
といった連鎖が起きる。
ダリオ氏は、今回のホルムズ海峡を巡る戦いが、これと同様の「帝国の転換点」になり得ると指摘する。
負ければ何が起きるのか
もし米国がホルムズ海峡の支配を確保できなかった場合、その影響は軍事にとどまらない。
ダリオ氏は次のようなリスクを挙げる。
- 同盟国・債権国の信頼低下
- 米国債の売り
- ドルの弱体化
- 金への資金流入
つまりこれは、地政学イベントでありながら、金融危機のトリガーにもなり得るということだ。
覇権国の「軍事的敗北」が、そのまま「通貨の信認低下」に直結する構図である。
勝てば何が起きるのか
逆に、米国が海峡の安全な航行を確保できれば、状況は大きく変わる。
- 米国の軍事力と同盟力が再確認される
- ドルと米国債への信認が強化される
- 同盟国の結束が強まる
ダリオ氏は、レーガン政権が湾岸でタンカー護衛を行った事例を引き合いに出し、「力を示すこと自体が市場の安定につながる」と指摘している。]
この戦争が長引く理由
さらに重要なのは、戦争の性質そのものだ。
ダリオ氏は、戦争においては「痛みに耐える力」が勝敗を左右すると述べる。
イラン側は、
- 長期戦に持ち込む
- 徐々に負担を増やす
という戦略を取る可能性が高い。
一方で米国は、
- 世論
- 選挙
- 経済負担
といった制約が強く、長期戦への耐性は限定的だ。
この非対称性が、戦争の帰結に大きく影響する可能性がある。
「最終決戦」はこれから
ダリオ氏は、現在の状況について次のように位置づけている。
本当の決着はまだついていない
むしろ、
- ホルムズ海峡の支配を巡る戦い
- 多国間の関与
- エネルギーインフラへの攻撃
といった局面こそが、「最終決戦」になる可能性が高いという。
そしてこの結果は、
- 貿易の流れ
- 資本の流れ
- 国際政治の力関係
を一気に塗り替えることになる。
これは「ビッグサイクル」の一部に過ぎない
ダリオ氏は、この戦争を単独の出来事としてではなく、
- 債務サイクル
- 国内政治の分断
- 国際秩序の変化
- 技術革新
といった要素が絡み合う、「ビッグサイクル」の一部として捉えている。
中東の戦争は、その中の一つの局面にすぎない。
しかし、ホルムズ海峡を巡る戦いは、その流れを加速させる可能性がある分岐点になり得る。
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