ドル円相場は、これまでの米国の成長減速というテーマに加え、突如発生した中東情勢の急激な悪化という新たなリスクを織り込まなくてはならなくなった。
米・イスラエルがイランを共同攻撃。イラン側も弾道ミサイルで反撃し、イスラエルのみならずカタール方面にも着弾が確認されるなど、緊張は局地戦の域を超えつつある。
もともと相場は減速シナリオを軸に動いていた。そこへ地政学リスクが重なったことで、ドル円の構図は一段と複雑になっている。
もともとの焦点は米成長鈍化
攻撃直前まで市場が注目していたのは、米国債市場の動きだった。
長期金利が主導して低下し、債券市場は明確に成長減速を警告。株式市場は「利下げが景気を支える」という期待に依存していた。
つまり、
- 債券市場:減速を織り込み
- 株式市場:利下げ期待
- ドル円:方向感なく圧縮
という状態だった。
本来であれば、ISM製造業景況感指数や米雇用統計が次の方向性を決めるはずだった。
新たに加わった戦争リスク
米・イスラエルの攻撃後、一気にリスク再評価をしなければならなくなった。
地政学ショックがドル円に与える影響は、主に3つあるだろう。
① 原油急騰リスク
イラン情勢の悪化はホルムズ海峡リスクを意識させる。
原油価格が急騰すれば、
- 米インフレ再燃
- 日本の輸入コスト増大
- 世界成長鈍化
が同時進行する可能性がある。
これは「成長減速+インフレ」という厄介な構図を生む。
② キャリートレードの巻き戻し
ドル円は典型的なキャリー通貨だ。
地政学リスクが拡大し、
- 株安
- ボラティリティ上昇
- リスクオフ加速
となれば、円買い圧力が強まる可能性がある。
ただし、原油主導で米金利が上昇する場合はドル買いが優勢になるため、初動は読みづらい。
③ 利下げ期待の揺らぎ
もともと市場は「景気が弱ければ利下げ」という前提で動いていた。
しかし原油高が続けば、FRBは簡単に緩和へ舵を切れない。
利下げ期待の後退は、債券・株式双方に調整圧力をかける。
ドル円はレンジ圧縮から解放局面へ
テクニカル的には、ドル円はここ数週間、上下を切り下げ・切り上げる圧縮レンジを形成していた。
こうした構造は、大きな材料で一気にブレイクしやすい。
今回の中東情勢は、そのトリガーになり得る。
今後のシナリオ分岐
● 限定的衝突で収束
→ 原油は一時的上昇
→ 再び米景気減速テーマへ
→ ドル円はドル安・円高方向へ
● 地域紛争拡大
→ 原油高持続
→ インフレ懸念再燃
→ ドル高・円安方向
● 全面リスクオフ
→ 株急落
→ キャリー全面解消
→ 円急騰・ドル円急落
結論
イラン攻撃前まで市場の主題は「米景気は減速するのか」だった。
今は「中東の紛争がどこまで拡大するのか」になった。
ドル円は単なる金利差通貨ではなく、
- 成長見通し
- インフレ期待
- 原油価格
- 軍事的エスカレーション
が絡み合う複合相場へ移行した。
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