市場センチメントはこの24時間で持ち直している。AI関連の混乱懸念が、アンソロピックによる新たな提携発表で和らぎ、株式市場は上昇基調にある。その結果、ドルはユーロやポンド、資源国通貨に対しては軟化した。一方で円に対しては上昇を継続している。高市首相が日銀の追加引き締めに懸念を示したとの報道を受け、円はここ数日で急速に下落している。
首相は為替動向を「強い緊張感をもって注視している」と発言し、為替介入観測も再燃した。しかし足元では、円は主要通貨の中で最弱圏にある。
日銀の政策軌道は本当に揺らぐのか
新たに日銀審議委員に指名された佐藤綾乃氏、浅田統一郎氏の両名は、退任予定の野口旭氏、中川順子氏の後任となる。市場では新メンバーがハト派寄りになるとの思惑が広がっているが、実際のバランス変化は限定的との見方もある。野口氏は既に最もハト派とされ、中川氏は中間的立場だったためだ。
東京の消費者物価上昇率は前年比1.7%への鈍化が予想されており、次回利上げは4月ではなく6月が有力とみられる。賃金上昇が持続するかが鍵となりそうだ。
USD/JPYのテクニカル焦点
足元の急騰にもかかわらず、1月のピーク以降続く「切り下げ高値」の構造はまだ崩れていない。上値の重要水準は157.66であり、この水準を明確に上抜けない限り、調整余地は残る。
現在は156.50~157.30のレジスタンス帯を試している。このゾーンは以前サポートとして機能していた水準である。下値は155.65、次いで155.05が重要支持線となる。155円割れで日足終値を付ければ弱気シグナルとなり、154.52割れでは150円台前半への下落も視野に入る。
ドル全体は方向感に欠ける展開
USD/JPY以外ではドルは方向感を欠いている。トランプ大統領の一般教書演説への市場反応は限定的だった。2月の米消費者信頼感指数は91.2へ上昇し、予想を上回った。
今週は新規失業保険申請件数とPPIが予定されている。FRB高官はインフレのさらなる進展が利下げ再開の前提との姿勢を維持しており、政策金利は当面据え置きが見込まれる。
介入はあるのか
円安は政治的な許容限界に近づきつつある。157円台を明確に突破すれば、当局の口先介入、あるいは実弾介入への警戒が一段と強まるだろう。ただし、米金利が高止まりする限り、円の反転には持続的な材料が必要になるだろう。市場は今、「どこまで円安が進むか」と同時に、「どの水準で当局が動くか」を探っている。

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