UBS・JPモルガンが年末$6,000超を予想 — 「有事なのに金が下がる」メカニズムとプロが強気を崩さない理由

当ページのリンクには広告が含まれています。

イラン戦争が始まって3週間、「有事の金」は期待通りに機能しなかった。金価格は5,100ドルから反落し、足元は膠着が続いている。しかしウォール街の投資銀行や貴金属専門家たちは、この調整局面を「売り場」ではなく「仕込み場」と見ている。なぜプロは戦争で金が下がっても強気を崩さないのか。その理由を探る。

目次

UBS「年末6,200ドル、現在から20%の上昇余地」

Kitcoが3月16日に報じたところによると、スイスの投資銀行UBSは金価格の2026年中間目標を6,200ドル/oz、年末目標を5,900ドル-6,200ドル/ozに設定している。現在の5,025ドルから約20%の上昇余地だ。

UBSが強気を維持する根拠は大きく3つある。第一に、FRBの利下げサイクルが継続し実質金利が低下すること。UBSは9月までに2回の25bp利下げを予想している。第二に、2025年に金の世界需要が初めて5,000メトリックトンを超えたこと。中央銀行の金購入は引き続き堅調で、ETF投資家の動きも安定してきている。第三に、供給制約だ。資源調査会社Wood Mackenzieの推計では、世界の金鉱山のうち80カ所が2028年までに現在の生産計画を使い果たす。需要拡大と供給制約が同時に進行する構図は、長期的な価格上昇の土台となる。

なお、UBSは上振れシナリオとして7,200ドル/oz、下振れシナリオとして4,600ドル/ozも提示しており、FRBがタカ派に転じた場合の下落リスクも排除していない。

「戦争で金が下がる」メカニズム

金投資家にとって最大の疑問は、なぜ中東で大規模な軍事衝突が起きているのに金価格が下落したのかだ。過去の紛争では金は急騰している。UBSによると、2022年のロシア・ウクライナ侵攻時に金は15%上昇し、湾岸戦争開戦時にも17-19%の上昇を記録した。今回の反応の鈍さは異例だ。

今回の違いは、戦争が引き起こした原油高がインフレを加速させ、FRBの利下げ期待を後退させたことにある。金利が高止まりすると、利息を生まない金の保有コスト(機会コスト)が上がり、投資妙味が低下する。つまり「戦争→原油高→インフレ→利下げ後退→ドル高→金安」という、直感に反する連鎖が働いた。「有事の金」は単純に「戦争=金上昇」ではなく、金利環境や通貨の動きを介して複雑に作用するものだ。

Heraeus「本当に怖いのは戦争ではなくリセッション」

貴金属精錬大手Heraeusの最新分析は、「原油価格ショックが貴金属に与える直接的な影響は歴史的に限定的」と断じた上で、金にとっての真のリスクはリセッション(景気後退)だと警告する。

1970年代の石油ショック時も、原油高の初期段階では貴金属は上昇を続けたが、米国経済がリセッションに入ると反転して下落した。Heraeusは「最後のリセッションから6年が経過しており、通常の景気サイクル(5-6年)を超えている」と指摘。足元では2月の雇用統計で失業率が4.4%と安定しているものの、雇用の質の悪化が見え始めており、景気後退の確率は無視できない水準に高まっている。

特に注意が必要なのは銀だ。銀は宝飾品や投資だけでなく、太陽光パネルや電子部品などの工業用途が大きい。景気後退で工業需要が落ち込めば、金以上に打撃を受ける。実際、銀のグローバルETF保有量は年初の8億6,300万オンスから8億1,700万オンスに減少し、すでに資金流出の兆候が見える。一方で金は「安全資産」としての性格がより強く、リセッション時にも相対的に底堅い傾向がある点が、金と銀の決定的な違いだ。

「金をドルではなく世界債務で見よ」

資産運用大手Abrdnは別の角度から金の価値を論じている。「ドル建て金価格だけに注目するのは本質を見誤る。金は世界の政府債務残高との対比で評価すべきだ」という主張だ。

米国の政府債務残高は36兆ドルを超え、増加の一途をたどっている。各国の中央銀行が金を買い増しているのは、法定通貨の長期的な信認低下を見越した動きだ。ドル高で金のドル建て価格が抑えられていても、「通貨全体の価値毀損に対する保険」としての金の役割は変わらない。金を「ドルに対する値動き」だけで判断するのではなく、「世界の債務膨張に対するヘッジ」として見る視点が重要だという。

投資銀行の年末予想は軒並み6,000ドル超

UBSだけではない。JPモルガンは年末6,300ドルを、ドイツ銀行は6,000ドルを予想している。主要投資銀行の見通しは現在の水準から20-25%の上昇で概ね一致しており、金の長期見通しに対する確信は揺らいでいない。

これらの予想に共通するのは、「短期的には金利環境やドル高が逆風だが、中央銀行の購入・地政学リスク・供給制約という構造的な支持要因が年末に向けて優勢になる」というシナリオだ。

FOMC後が次の分岐点

現在開催中のFOMC(3/17-18)の結果発表は日本時間3月19日午前4時。ドットプロットで「年内利下げゼロ」が示されれば、金にとっては短期的に逆風となる。しかしUBSのように「9月までに2回利下げ」を見込むアナリストにとっては、一時的な調整に過ぎない。逆にハト派サプライズがあれば、直近のレジスタンスを試す展開が期待できる。

「戦争なのに金が下がった」と失望するのは早い。投資銀行各社は年末6,000ドル超のシナリオを崩していない。FOMC後の金利見通しが明確になるまでは様子見が無難だが、プロたちの見立てを知った上で、自分の投資判断に活かしてほしい。

XMTradingで金CFDを取引する強み

  • ✓ 金(XAUUSD)のCFD取引に対応、国際金市場に連動したリアルタイム取引
  • ✓ スプレッドが比較的タイトで取引コストを抑えやすい
  • ✓ MT4・MT5両対応、日本語サポートが充実
  • ✓ 新規口座開設ボーナスあり、少額から始めやすい環境
  • ✓ デモ口座でリスクゼロの練習が可能
XMTradingで無料口座開設 →
ホッホ博士
マネー比較ラボ編集部
金融市場・世界情勢・仮想通貨・FXに関するニュースや解説記事の作成、金融サービスの比較を行っています。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次