米株式市場は表面上は落ち着いているように見える。しかし、その内部では大きな地殻変動が起きている。
ゴールドマン・サックスのポッドキャストに出演したゴールドマン・サックス・リサーチのポートフォリオ・ストラテジストのライアン・ハモンド氏は、年初からのソフトウェア株の急落について、「AIディスラプションを巡る評価の再設定が起きている」と指摘した。

ソフトウェア株は年初から25%下落
ソフトウェア株の一部は年初来で約25%下落。昨年10月高値からは30%超の下落となっている。
特筆すべきはバリュエーションの急激な圧縮だ。
- フォワードPER:35倍 → 20倍へ急低下
- 市場全体に対するプレミアム:100%超 → 20%へ縮小
ハモンド氏は「投資家はわずか数日で、15〜20%成長銘柄として評価していた企業を、5〜10%成長企業として織り込み始めた」と説明する。
つまり問題は短期業績ではなく、「長期的な収益力」に対する疑念だ。
AIディスラプションが広範囲に波及
売りはソフト株だけではない。
- 出版
- 広告
- メディア
- 法務サービス
- ITコンサル
- 保険
大規模言語モデル(LLM)の業界特化型ツールの登場が、これらのビジネスモデルを揺さぶっている。
Googleの「Genie 3」、Claudeの「Cowork」機能、保険比較AIなどの登場が引き金となり、AIが収益モデルを侵食する可能性が現実味を帯びてきた。
歴史は何を示すか
ゴールドマン・サックスは過去のディスラプション事例も分析している。
- 2000年代の新聞業界(インターネット台頭)
- 1990年代のタバコ業界(規制強化)
共通点は「価格底打ちは業績安定後だった」という点だ。
今回も鍵は企業業績にある。
実際、直近の決算で「予想より悪くなかった」企業は株価が反発している。
投資家は短期業績と長期不安の綱引きをしている状態だ。
AI投資はむしろ加速している
一方でAI投資は減速していない。
米国の5大ハイパースケーラーの設備投資は:
- 2025年:4000億ドル
- 2026年予想(年初):5400億ドル
- 現在予想:6600億ドル
わずか数週間で1200億ドル上方修正された。
ただし、株価の反応はバラバラだった。
上昇した企業もあれば、10%下落した企業もある。
市場は単に「AIだから買う」というフェーズを終え、「収益化できるAIかどうか」を精査する段階に入った。
2026年のキーワードは「ブロードニング」
ハモンド氏は2026年相場を一言で「ブロードニング(拡大)」と表現する。
- 小型株が大型株をアウトパフォーム
- 米国外株式が相対優位
- 景気循環株が主導
AI主導の集中相場から、マクロ回復を背景とした分散型相場への移行が進んでいる。
強気相場は終わらないが、リターンは鈍化へ
ゴールドマンの見通しは依然として強気だ。
- S&P500のさらなる上昇余地あり
- ただし上昇ペースは鈍化
理由は明確だ。
- バリュエーションは既に高水準
- 今後の上昇は「マルチプル拡大」ではなく「業績成長」に依存
直近四半期のS&P500企業利益は前年比12%増。中央値企業でも9%増と健全な水準にある。
AI相場は終わったのか?
答えはノーだ。
ただし、
「何でもAIで上がる相場」は終わった。
これからは:
- 収益化できる企業
- 資金調達余力がある企業
- キャッシュフローで投資を賄える企業
のみが評価される。
AI相場は第2幕へ入った。
それはより厳しく、より選別的な市場だ。

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