金価格が心理的節目である5,000ドルを割り込んだ。3月18日の取引で金は3.3%の大幅下落を記録し、6週間ぶりの安値を更新。CNBCによると、同日のFOMCとPPIショック(詳細はFOMC記事を参照)が重なり、「利下げが遠のく」との見方が金を直撃した。
なぜ金は売られたのか
FOMCでは年内1回の利下げ見通しが維持されたものの、タカ派(利下げに慎重な委員)が増加。同時にPPIが予想の2倍以上に跳ね上がり、インフレ再加速への懸念が強まった。この2つが重なったことで「利下げが遠のく→ドル高→金安」のメカニズムが働き、金の5,000ドルの防衛線を突破した。
金(ゴールド)は利息や配当を生みません。一方、銀行預金や国債は金利に応じた利息がもらえます。金利が高いと「利息がもらえる預金や国債の方が得」と考える投資家が増え、金を売って他の資産に乗り換えます。これが「金の機会コスト」です。金利が高止まりする=金を持つメリットが薄れる=金が売られる、という関係です。
Saxo Bank「金にはさらなる下落余地がある」
Kitcoが伝えたSaxo Bankの分析によると、金はファンダメンタルとテクニカルの両面で逆風が強まっており、「さらなる下落余地がある」という。具体的には、PPIの上振れがFRBの利下げタイムラインをさらに後ずれさせることで、ドル高が続き金を圧迫するシナリオだ。
テクニカル面でも、5,000ドルは過去数週間にわたって強力なサポートとして機能してきた水準だ。このサポートが崩れたことで、次のサポートは4,800〜4,850ドル付近に位置する。4,800ドルを割り込めば、RJO Futuresが指摘する4,200ドル水準まで下落する可能性も排除できない。
それでも「長期強気」は崩れていない
短期的な下落にもかかわらず、長期見通しを強気に維持するアナリストは多い。Kitcoによると、CRU Groupは「金は依然として6,000ドルへの道筋にある。世界の金融システムへの信頼が揺らげば、5桁(1万ドル)のポテンシャルさえある」と分析している。
UBSも3月16日時点で2026年中盤の目標を6,200ドル、年末を5,900ドルに据え置いている。JPモルガンの年末6,300ドル予想も変更されていない。投資銀行各社の見立てでは、今回の下落は長期上昇トレンドの中の一時的な調整であり、中央銀行の金購入継続、地政学リスクの長期化、供給制約という構造的な上昇要因は健在だ。
重要なのは、FOMCが年内1回の利下げ見通しを維持したことだ。「利下げゼロ」ではなく「まだ利下げする意思はある」というメッセージは、金にとって中長期的にはプラスだ。利下げが実現すれば、金の機会コストが低下し、買いが戻る展開が見込める。
銀も急落 — 4週間ぶり安値、景気後退シグナルに注意
金と連動して銀も大幅下落し、4週間ぶりの安値を記録した。銀は金以上に工業需要(太陽光パネル、電子部品等)の影響を受けるため、景気後退リスクの高まりが追加の売り材料となっている。PGM(白金族金属)も軟調で、貴金属セクター全体が売り圧力にさらされた。
注目すべきは銀の下落幅が金を上回った点だ。金と銀の価格比率(金銀比)が拡大する局面は、過去のパターンとして景気後退の前兆とされることが多い。銀は「産業の金属」としての性格が強く、景気悪化の影響をいち早く織り込む傾向がある。金銀比の動きは、景気の先行指標として個人投資家も注視すべきデータだ。
中央銀行の金購入は続くのか
短期的な価格下落にもかかわらず、金の構造的な支持要因として最も重要なのが中央銀行の購入だ。2025年には金の世界需要が初めて5,000メトリックトンを超え、中央銀行の買いが大きな割合を占めた。中国、インド、ポーランドなどの中央銀行は、ドル依存度を下げる目的で金準備を積み増しており、この流れは短期の金利動向に左右されにくい。
UBSは「中央銀行の購入は引き続き堅調で、ETF投資家のフローも最近は安定してきている」と分析しており、需要サイドの支えは健在だとしている。供給面でも、Wood Mackenzieによると2028年までに世界の80鉱山が現在の生産計画を使い果たすとされ、需給の引き締まりは中長期的な価格上昇を支える構造となっている。
個人投資家が意識すべき3つのポイント
1. 5,000ドル割れは「パニック売り」のタイミングではない。投資銀行各社の年末目標(6,000〜6,300ドル)は変わっていない。短期トレーダーにとってはストップロスが発動する水準だが、中長期の積立投資家にとっては「安くなった=買い増しの機会」と捉えることもできる。
2. 次のサポートは4,800〜4,850ドル。5,000ドルを割り込んだ以上、次の下値目処は4,800ドル付近。ここを維持できれば底入れの可能性が高まる。逆に4,800ドルも割り込めば、さらなる下落に備える必要がある。
3. FOMCの「年内1回利下げ」は金にとっての最低限の支え。利下げが実現すれば、金の機会コストが低下し買いが戻る。しかしインフレが再加速して利下げが消滅すれば、金にとっては本格的な下降局面に入る可能性がある。今後のCPI・PCEインフレ指標と原油価格の動向が、金の方向感を決める最大の変数だ。
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