米原油WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は11日、1バレル=65ドル台へ上昇した。米エネルギー情報局(EIA)が発表した原油在庫が市場予想に反して大幅増となったにもかかわらず、米国とイランの緊張激化が地政学的リスクプレミアムを押し上げ、相場を支えた。
WTIは一時65.64ドルまで上昇し、前日比で1%超の上昇となった。
テクニカル:50日・200日EMA上回り強気転換を確認

日足チャートでは、価格は50日指数平滑移動平均線(EMA、60.85ドル)および200日EMA(62.39ドル)を明確に上回って推移している。1月初旬に付けた55.68ドルの安値からの反転が確定し、構造的な強気転換が示唆される。
直近では高値・安値ともに切り上げる形となっており、現在は66.25ドル付近のレジスタンス(直近スイング高値)を試す局面にある。
この水準を日足終値で上抜ければ、1月安値からの上昇幅を基に算出した測定値は68〜69ドルゾーンを示唆する。
ファンダメンタルズ:イラン情勢が主因
今回の上昇の主因は、米国とイランの核協議が決裂する可能性に対する警戒感である。協議が崩壊した場合、軍事行動に発展し、ホルムズ海峡を通過する原油輸送が混乱するリスクがある。
さらに、トランプ大統領が7月1日に予定されている米墨加協定(USMCA)の義務的見直しを前に、協定からの離脱を検討しているとの報道も伝わった。仮に離脱となれば、北米エネルギー貿易に大きな混乱が生じ、カナダ産原油が高関税に直面する可能性がある。
マクロ面では、1月の米雇用統計(NFP)が13万人増と予想(7万人)を上回り、失業率も4.3%へ低下。米労働市場の底堅さが短期的なエネルギー需要を支えるとの見方も原油相場を下支えした。
在庫ショック:+853万バレルの大幅増
一方、EIAが発表した週間原油在庫は+853万バレルと、市場予想(▲20万バレル)に対して大幅な積み増しとなった。ここ数カ月で最大級の増加幅であり、通常であれば価格の重しとなる材料である。
テクニカル指標では、ストキャスティクス(14,5,5)は強気圏にあるが、買われ過ぎの目安とされる80に接近している。モメンタムは依然ポジティブながら、在庫増と66.25ドルのレジスタンスが当面の上値抑制要因となりやすい。
66.25ドルを突破できなければ、WTIは200日EMA(62.39ドル)付近まで調整する可能性がある。
今後の注目材料
市場は以下の材料を注視している。
- 国際エネルギー機関(IEA)の天然ガス貯蔵統計
- OPEC月報(第2四半期の需要見通し引き下げ)
- 2026年に向けた供給過剰見通し
地政学的緊張が支えとなる一方、在庫増加と需要鈍化観測が重しとなる構図である。短期的には「イラン・プレミアム」と「供給過剰懸念」の綱引きが続きそうだ。
参考:FXStreet

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