米国およびイスラエルによるイラン攻撃を受け、中東情勢は急速に緊迫化している。市場の焦点は、軍事衝突そのものよりも、世界のエネルギー供給の大動脈であるホルムズ海峡の行方に移っている。
CNBCの報道によれば、ホルムズ海峡を通過する原油は日量約1,300万バレルで、海上輸送原油の約3割を占める。一部専門家は、全面的な封鎖が現実化した場合、1970年代のOPECによる石油禁輸やイラン革命を上回る規模の供給ショックとなり、原油価格は100ドル超に達する可能性があると警告している。
INGのシナリオ分析:80ドルから140ドルまで
INGは、今回の事態を「長期化シナリオ」に近い展開と位置づけている。市場再開時にはICEブレントが即座に80~90ドルへ上昇する可能性があり、供給混乱が拡大すれば100ドル、最悪の場合は140ドルに達するリスクもあると分析する。
さらに重要なのは、LNG市場への影響だ。ホルムズ海峡は世界のLNG取引の約2割が通過する要衝であり、特にカタール産LNGの供給に深刻な影響が及ぶ可能性がある。LNG価格の主要指標である欧州TTF価格は80~100ユーロ/MWhに急騰するシナリオも想定されている
「封鎖」は可能か? 市場が見る現実的リスク
もっとも、実際の全面封鎖は軍事的にも政治的にも容易ではない。ホルムズ海峡の封鎖は米軍の強い軍事的対応を招く可能性が高く、アジア諸国(特に中国・日本・韓国)からも強い圧力がかかることが予想される。実際、通過エネルギーの8割超がアジア向けだ。
ただし、完全封鎖でなくとも、タンカーが航行を回避するだけで物流は大きく滞る。保険料上昇、輸送遅延、リスクプレミアムの拡大が重なれば、実質的な供給逼迫が発生する。
代替供給は限定的
仮に供給が途絶した場合、戦略石油備蓄(SPR)の放出が最も迅速な対応策となる可能性がある。ただし、米国のSPRは2021年初頭比で約35%縮小している。放出は一時的な緩和策に過ぎない。
OPEC+の増産も理論上は可能だが、余剰生産能力の大半は湾岸地域に集中しており、ホルムズ封鎖下では十分機能しない可能性がある。
米国のシェール増産は価格高騰への中期的対応となるが、生産拡大には6~12カ月を要する。
リスクプレミアム急騰は不可避
短期的にはリスクプレミアムによる急騰は避けられない。だが、本当の焦点は衝突の「期間」と「拡大範囲」である。
数日で沈静化すれば価格は調整される可能性がある。しかし、
- ホルムズ海峡の実質的機能停止
- サウジ・UAEなど湾岸産油国のインフラへの波及
- イラン体制の存亡を賭けた長期戦
といった展開に至れば、エネルギー市場は1970年代型の供給ショック再来を織り込み始めることになる。
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